移住者インタビュー#13森下さん
地域に溶け込むために、地域の仕事に参加することが大事。 それを煩わしいと思うか、楽しいと思うかも大事。
大阪在住時から収集した柱時計と陶磁器を加工した時計の制作と販売を始めた正仁さんと、彦根に移住後箱作家として活動する節子さんご夫婦。積極的に市内外の手作り市に出展しながら、地域との関わりを大切に、彦根暮らしを楽しんでおられます。
-彦根に移住を決められたきっかけはなんでしょうか?
正仁さん:彦根に移住するまでに、いろいろな所の物件を見に行っていました。最初は、大阪府内で物件を探していましたが、なかなかイメージ通りのものがありませんでした。
節子さん:いいなと思っても立地が不便とかね。老後に車の運転ができなくなっても生活できる環境を探して、大阪以外の地域にも探す範囲を広げたところ、彦根の空き家バンクに素敵な物件が掲載されているのを見つけました。
正仁さん:その物件は立派過ぎて購入できない金額でしたが、一度直接見てみたいと思い、担当の不動産屋さんに連絡をして、物件見学に来させてもいました。そのときに他の古民家も数件紹介してもらって、上下水道完備で都市ガス、さらに近くに駅とスーパー、病院などがあるこの物件の購入を決めました。この物件は比較的良い状態でしたが、手直しは必要だったので、プロに改修工事をお願いしました。最初は3か月程度で移住できると思っていましたが、彦根に歴史的な大雪が降った年だったこともあり、実際に移住するまでに1年かかりましたね。
-彦根に移住して、以前の生活と変わったことはありますか?
節子さん:彼は変わりましたよ。移住前は、地域のことや近所付き合いなどは、すべて私に任せきりでしたが、今は全部していますね。
正仁さん:全部しているというか、知らない間にいろいろな会に入れられているんですよね(笑)
節子さん:でも地域に溶け込むためには、入らないとね。私たちは親戚も知り合いもいないところに移住してきたから、地域の方が頼りでしょ?地域の方が色々教えてくれるから、やってこれていますよね。移住前はなかった地域の仕事があって、それを煩わしいと思うか、楽しいと思うか。それは大事なことでね。そのおかげで地域の人たちとの繋がりができました。私もその繋がりから、趣味で作成していた箱を販売することになりましたしね。
正仁さん:移住後に知りましたが、この地域はモノづくりをしている方がたくさんいて、そうした方の受け入れを率先して行っています。そしてその作品を販売するお店も「あしがるノイエ」というコミュニティスペースにあり、私の作品も置くことになりました。その時に、妻の趣味について話す機会があって「箱もお店に並べてみては?」ということになりまして。
-正仁さんは、時計作りや販売はいつから始められたのですか?
正仁さん:現役時代からなので、もう20数年前からですね。
節子さん:作り始めたはいいけど、家中時計だらけ。「これどうするの」ってくらいになってしまって。それで調べて「百万遍の手作り市に参加してみたら?」と勧めました。
正仁さん:当時は、ヨーロッパの鍋やフライパン、コーヒーカップなどを加工して時計を作っていて、それを販売したら思っていた以上に買ってもらえました。初出展で珍しいから売れたのだろうと思っていましたが、それ以降も買ってもらえてね。出展を続けていると、出展者同士や来てくれるお客さんと仲良くなって繋がっていくのが楽しいですね。
-彦根に移住して驚いたことなどありますか?
正仁さん:冬の天気がころころ変わることには驚きました。大阪は晴れの日は「晴れ」という感じだけど、彦根は雨が降ったり止んだりころころ変わるし、曇りの日が多いので驚きました。今は慣れたけれど、洗濯物を外に干したまま出掛けることはできないですね。
節子さん:でも雪はあまり降らないからいいですね。大阪の友人には彦根に移住すると話した時に「寒いのに?」とか「雪大変なのに?」とか言われましたけど、そんなにたいしたことはないですよ。雪も年に2~3回くらいしか積もらないしね。大阪の人は、もう少し北の地域と勘違いしているのかもしれませんね。それからスーパーマーケットの多さに驚きました。人口11万人強のまちでは考えられないくらい、スーパーの数が充実しているので、経営が成り立つのか心配になります(笑)。
-これからの展望について教えてください。
正仁さん:市外に出展のため出掛けることが多いので、彦根にいる間は地域の活動にできるだけ参加して、地域の困りごとなどのお手伝いしていきたいですね。最近はお城の屋形船のボランティアガイドにも参加し始めました。高齢化でガイドをやる方が少ないようなので、若い方もなってくれたらいいなと思います。
節子さん:私たちが先頭を走ることは年齢的に難しいけれど、彦根はたくさんいいところがあるから、それを活用してくれる若い方がいれば、いくらでも応援したいですね。
-移住を考えている方に何か伝えたいことはありますか?
正仁さん:住む前にどんな感じなのか見に来てほしいです。移住してからなにか違うなとなってもどうしようもないのでね。私たちの話ならいくらでもしますよ。
節子さん:この辺りは、駅も徒歩圏内、買い物も便利、大きな病院もあるし地域の方との関係性もいいところです。おすすめですよ。

更新日:2025年03月31日