移住者インタビュー #14 鶴田さん
集まる人が、自分らしくいられる場所を目指して
鶴田雅子さん/長崎県から2023年Iターン
革工房なごみ 煌めく橋 代表
鶴田さんは、10数年越しの想いを叶え、伝統的建造物群保存地区である花しょうぶ商店街に移住されました。16年目の整体のお仕事と、12年目のフルオーダーメイドの革職人としての活動を営みながら、集まる人が自分らしくいられる場所作りを目指しています。
-移住を考えたきっかけはなんですか?
最初のきっかけは、10数年ほど前に福岡から福井へ車で向かう途中、渋滞のために大津インターから一般道に下りたことです。湖岸道路を福井まで北上して行ったのですが、それがとても素敵な旅で、福岡に帰ってからも、この2日間が忘れられず、滋賀で暮らしたいと考えました。それで仕事や住居探しを始めたのですが、なかなか決まらなくて。当時の私は、移住をサポートしてくれる制度も知らなかったので、その時は断念しました。
それからしばらくたって、彦根に移住を検討している方と、偶然地元の長崎で知り合いました。私は、ちょうどその頃から今まで取り組んできた革の端材などを使ったアート作品を本格的に制作したいと感じていて、どこかに工房を持つのもいいなと考えていた時で、それを知ったその方に「彦根にとても良い物件があるよ。アート活動をするなら滋賀の方が京都や東京にもアクセスしやすいからいいんじゃない。」と声をかけていただきました。いろいろ話をしている内に、彦根に移住してもいいんじゃないかって思い始めて、10年越しの想いが、ここで実るのかと思いました。
-リノベーションはご自身でされたのですか?
建具の塗り直しなどは自分で行いました。落ち着いた雰囲気にしたくて、わびすけという名前のこげ茶色のペンキを買って、塗りなおしました。あとリノベーションしたところは、もともとあった小さな玄関を、たくさんの方がいらっしゃっても中に入りやすいように、以前は廊下だった部分も含めて通り土間にしたり、駐車場を作ったりしました。土間の壁を珪藻土で塗る作業は自分でしたのですが、とても楽しかったです。去年の7月にお店をオープンしてから忙しくて時間を取れていませんが、2階の壁も塗ろうと思っています。ちょっとずつ手を加えていきたいですね。
-これから先、やってみたいことなどはありますか?
この家を、人が集まる場所にしたいです。ここは1人で住むには広いですが、最初から私は人が集まることのできる場所にしたいと思っていました。何かする必要もなく、何かをしなきゃと思う必要もなく、何もしなくてもいい、そこに在る、それだけでこころがゆるんで、本来の自分に還る場所になればいいなと。
特に日々の喧騒から離れ、心身をリセットしてストレスを軽減する「リトリート」を行う場所にできればいいなと思っています。先日この家を会場に、友人と共催して初めてリトリートを行ったのですが、参加者の方からも好評だったので、定期的に開催していければいいですね。
-では最後に、移住を検討されている方に一言お願いします。
理由もなく好きになれる場所に移住することがいいと思います。今の環境を変えるために、どこでもいいから移住をするのではなく、その場所に行くとわくわくしたり、ドキドキしたりするような、そんなところを見つけてほしいです。私にとっての彦根のように、少しでも離れると恋しくなってすぐに帰りたくなる、そんな場所に移住を希望する方が巡り合えることを願います。
更新日:2025年08月22日