市民文芸作品入選集
冠句
竹山吟月 藤野畔子 松山花兄 :選
 

 特 選 
田附町   大谷みつ子
犬上郡豊郷町   赤塚清女
金沢町   川崎康博
 
 入 選 
金沢町   堀口秀吉
稲里町   赤田恒夫
稲里町   田辺好子
田附町   柴田幸弘
金沢町   川崎壱範
稲里町   江波敏子
<総 評>
 
 審査の結果として、発表される作句が年毎に進歩し充実して行く事実は、文芸の道を志ざす方々の、ひたむきな精進の賜物と申し上げます。尚又作句の詩稿内容に深厚味が覗える事は日頃より積み上げられた珠玉の現れと賞されます。後日の参考迄に。作句に当たっては題意をよくマスターする事で、波こえてと波こえるは「て」は過去の事で「る」は現在のこと、亦風薫るは若葉の季節の現象で早春や晩秋又冬季の季とは異なります。
 今年度の冠句部はどの部門より参加者が増加した事は、冠句部の大きな誇りでした。
(竹山吟月)
 
 昨年につヾいて冠句部門に両先生と三人で多くのご投句を拝見させて頂きましたところ本年は九〇名の方々から二六九句を応募されました。昨年よりも九名増加、投句総数にして三十一句も多いことは本当に喜ばしい限りです。これは冠句に対する関心が少しづつ高くなってきた現れと思います。
 今回は特に全体を通じて冠句本来の捉え方が非常に奥深く優雅でかつ格調の高いものだったことです。尚又明快な理解度と豊かな庶民性がうかゞわれました。なかには二、三、俳句に使われる「けり」「かな」等の所謂『切れ字』が十二音に含まれるのが目につきましたが出来るだけ冠句の付句は冠題に対する答そのものだということを常に心掛けて余すところなく十二音を有効に生かして頂ければこれからの作句に一層の磨きがかヽるものと思います。
(藤野畔子)
 
 本年も、彦根市春の文芸輯を、盛大に開催されお慶び申し上げます。以下思うところを例により記して見ました。
 幾多の秀句に接する度に、この土地の豊かな人情味に感動しております。今年は何故か、亡父、亡母、亡夫・・・などの、故人に対する追想追慕の句が多く見受けられました。配題の所為もあるのでしょうか。その中から、この一句を選ぶとなると、どれがアヤメかカキツバタ、選の辛さは一入のものがありました。何時ものごとく選者の好みと言うことで頂戴しましたが、多数の選外者には大変申し訳なく思っております。
 今年は冠句部門も、九十雅と言う大勢のご応募があって、同好の輪が着実な広がりを見せている様子、誠に喜ばしい限りであります。願わくば来年も、より大きく発展する事を念じて、総評と致します。
(松山花兄)

 
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