第59回(令和5年度)「彦根市民文芸作品」入賞者決定
日ごろの文芸創作活動の成果を発表していただくことで、日本語の持つ繊細で美しく、情緒豊かな響きを再発見していただき、さらなる文芸活動の振興を図ることを目的に、「彦根市民文芸作品」を彦根市および近隣市町から広く募集しました。
彦根市民文芸作品選者の審査を得て、この度入賞作品が決定しましたので、お知らせいたします。
入賞者されました皆さま、誠におめでとうございます!
入賞者(敬称略)
- 作者名は、雅号で掲載しております。
- 一部表示できない漢字は、標準字体で掲載しております。
- ホームページのシステム上、一部漢字変換できない語句があり、その語句についてはひらがなで掲載しております。
- ホームページの都合上、横書きでの掲載となりますので、ご了承ください。
- 詩、随筆・評論、小説の部門の作品については、タイトルのみの掲載となりますので、ご了承ください。
特選
作品 | 市町名 | 作者 |
---|---|---|
世界遺産へ花の階(きざはし)のぼりけり | 愛知郡愛荘町 | 西村 芳子 |
子規像の横顔ばかり亀の鳴く | 東近江市 | 坂口 靖子 |
発心の思ひ新たに遍路旅 | 東近江市 | 小泉 寿幸 |
作品 | 市町名 | 作者 |
---|---|---|
晴れ渡るひまわり満ちるわが町に若もの集い活気あふれる | 日夏町 | 津野 幹子 |
大根を抜きとり終えし菜園に春めく光を鋤き込みてゆく | 正法寺町 | 高井 豊 |
用たしに両手を差し出す妻なるを老骨構へ静かに受けとむ | 稲部町 | 田中 武雄 |
作品 | 市町名 | 作者 |
---|---|---|
煮くずれてからがわたしの味になる | 正法寺町 | 高井 豊 |
ミモザ咲く勉強嫌いがなおらない | 犬上郡多賀町 | 清水 容子 |
ぼた餅のあんこときなこ老い二人 | 近江八幡市 | 西村 孝子 |
作品 | 市町名 | 作者 |
---|---|---|
陽が差して まっさらの明日握手する | 大藪町 | 大塚 しのぶ |
志し 惚れた大地に種を蒔く | 新海町 | 木村 宏 |
願いごと 永遠(とわ)の繁栄大地(ち)と宇宙(そら)と | 蒲生郡竜王町 | 松瀬 竜子 |
作品 | 市町名 | 作者 |
---|---|---|
影 | 正法寺町 | 高井 豊 |
みなもと | 野瀬町 | 水沢 郁 |
春を待つ | 東近江市 | 前川 利孝 |
作品 | 市町名 | 作者 |
---|---|---|
筏流しの郷 朽木 | 大藪町 | 𠮷田 和治 |
作品 | 市町名 | 作者 |
---|---|---|
廃品回収業の男 | 正法寺町 | 高井 豊 |
入選
作品 | 市町名 | 作者 |
---|---|---|
太陽にぶつかりに行く石鹸玉 | 高宮町 | 前川 菅子 |
鍵盤のやうな二階の軒氷柱 | 地蔵町 | 佐古 徳子 |
青空に弾けるごとく桜咲く | 平田町 | 樋水 カツコ |
歯の抜けし少女の笑や桃の花 | 西今町 | 前田 弘子 |
巣立つ孫友の素顔を知らぬまま | 京町一丁目 | 川辺 由子 |
比叡より暮れて湖北の星月夜 | 西今町 | 松本 トシ子 |
春雨に響く警笛近江線 | 西今町 | 來本 民世 |
大老の生涯ここに花の城 | 日夏町 | 寺村 澄子 |
歩かうよ風の向かうは梅日和 | 平田町 | 石田 そとゑ |
喜びに悲しみに添ふ梅白し | 芹橋一丁目 | 秋山 栄子 |
露けしや許六の墓銘うすうすと | 米原市 | 成宮 伯水 |
好漢の人力車夫や松の花 | 錦町 | 中島 郁代 |
春泥や畠へ渡る捨て筵 | 長浜市 | 柴田 弥蔵 |
一礼の古刹の門につばめの巣 | 本庄町 | 田口 洋子 |
小夜時雨米とぐ音の混ざりけり | 日夏町 | 林 正子 |
作品 | 市町名 | 作者 |
---|---|---|
あいば野かおどろに聞こゆる砲声に戦禍の國の人々を思う | 古沢町 | 野洲 康雄 |
廃校の玄関守りし「二宮金次郎(きんじろう)」校舎競売に気をもみ見つむ | 長浜市 | 小谷 敏夫 |
年賀状に一言添える終わります老いる弱さが滲む筆跡 | 彦富町 | 池田 光雄 |
萎びたる花に水注す心地にて「孤独に負けるな!」吾のひとり言 | 日夏町 | 石原 不二子 |
初えびす福総取りの鯛鮪総身にまとふ賽銭あまた | 大藪町 | 石山 青水 |
桜花天女舞うごと散りてゆくうす桃色の風とたわむれ | 犬上郡豊郷町 | 森 典子 |
作品 | 市町名 | 作者 |
---|---|---|
越えた山背中を押してくれている | 東近江市 | 河崎 章 |
墨をする約十分と言う時間 | 東近江市 | 知野見 松子 |
菜の花の光る海原見えますか | 地蔵町 | 大谷 のり子 |
あれしとここれもしとこと生きる今 | 鳥居本町 | 寺村 美惠 |
二分は長い一日はすぐ終わる | 新海浜二丁目 | 森口 ゆめみ |
残り火じゃなくて今なお熾火です | 西沼波町 | 外海 芳子 |
作品 | 市町名 | 作者 |
---|---|---|
陽が差して 鍬打つ畑の土ひかる | 田附町 | 佐々木 トミ |
志し お気持ちどすとごえんさん | 地蔵町 | 佐古 徳子 |
願いごと 親は「命名」幸あれと | 蒲生郡竜王町 | 松瀬 文恵 |
陽が差して 古城の雄姿誇り見る | 鳥居本町 | 滝口 寿美夫 |
願いごと 絵馬に拓して努力積む | 普光寺町 | 河合 淳子 |
作品 | 市町名 | 作者 |
---|---|---|
サッカーボール | 彦富町 | 池田 光雄 |
ひこうき雲 | 芹町 | 千咲 |
ことのは 集め | 西今町 | やまかみ まさよ |
作品 | 市町名 | 作者 |
---|---|---|
広島での鮮烈な「赤」 | 平田町 | 伊藤 眞雄 |
ゾウの耳は福耳 | 日夏町 | 田中 恵子 |
作品 | 市町名 | 作者 |
---|---|---|
該当作品なし |
佳作
佳作につきましては受賞者多数のため、別途掲載いたします『第59回(令和5年度)彦根市民文芸作品入選集』をご覧ください。
選者(敬称略)
部門 | 選者 | 部門 | 選者 |
---|---|---|---|
俳句 | 秋口 大門、北川 栄子、吉永 幸司 | 詩 | 石内 秀典、尾崎 与里子、山本 英子 |
短歌 | 河分 武士、澤 絢子、宮本 照男 | 随筆・評論 | 野村 𡨁一、藤本 弘子、山口 一 |
川柳 | 青木 十九郎、重森 恒雄、峯 裕見子 | 小説 | 井上 次雄、杉山 啓志 |
冠句 | 今井三日月、西村 吟雪 | ― | ― |
審査
今年度の審査については、合同審査会は行わず、各部門の選者の先生方でご調整いただいたものを事務局が取りまとめを行う形で行いました。
「彦根市民文芸作品」表彰式、市民文芸講座、部門別研修会
表彰式の様子
令和5年7月8日(土曜日) ひこね市文化プラザエコーホールにて彦根市民文芸作品で特選を受賞された方を対象に表彰式を行いました。
表彰式の後、市民文芸講座、部門別研修会を開催いたしました。
文芸講座の様子
文芸講座は、短歌部門選者でもいらっしゃる河分武士先生を講師にお迎えし、
「 古今の秀歌に学ぶ」と題し、お話をいただきました。
地元近江にちなんだ数々の秀歌の時代背景を丁寧に読み解き、歌われた当時の風景や生活、生き様などを感じ、深く味わうことができました。
また、「視点と素材について」という文芸創作の観点からもご講演いただき、文芸活動に取り組む幅広い方にとって、多くの学びを得ることができる講演となりました。
部門別研修会の様子
部門別研修会では、各部門に分かれ、作品に対する講評や作品創作に関する意見交換など、ご参加いただいた方と選者の先生方が交流されました。
普段の創作時に抱いていた疑問点や、今回応募いただいた作品への選者からの講評を直接聞いていただくことで、今後の作品創作の参考になればと思います。
各部門で活発な意見交換がなされており、有意義な時間となりました。
更新日:2023年07月24日