今あるもの、ムダにしない。世界に誇れる図書館を。

更新日:2023年12月20日

図書館イメージ図

生まれ変わる、旧ひこね燦ぱれす

平成3年に開館し、ひこね燦ぱれすとして親しまれてきた勤労者総合福祉センター。令和4年12月にオープンしたプロシードアリーナHIKONEに機能を引き継ぐとして、閉館後に取り壊す予定でした。

しかし、和田市長は「まだまだ使える建物をムダにすべきではない。有効活用の方法を模索したい」と考え、市民の皆さんからの賛同も得た上で各種検討を進めました。その結果、図書館へのリノベーションの実現が見えてきました。

このリノベーションに当たって設計を手掛けることになったのが、世界で活躍される建築家、坂 茂(ばん しげる)さんです。

世界で活躍する建築家

坂さんは、東京とニューヨーク、パリに事務所を構え世界中で活躍する建築家です。建築界のノーベル賞とも言われるプリツカー賞を受賞し、国内外での災害支援・難民支援活動でも知られています。

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坂 茂 さん

・株式会社坂茂建築設計 代表

・NPO法人 ボランタリー・アーキテクツ・ネットワーク 代表

・芝浦工業大学 特別招聘教授

プロフィール2

建築家には、被災地でもできることがある

従来の避難所

従来の避難所

大規模な災害が発生すると、避難所でプライバシーが守られない生活を余儀なくされる場合があります。坂さんが代表を務めるボランタリー・アーキテクツ・ネットワークでは、紙を材料とした部材で作る間仕切りシステムを開発してこれらを提供しています。また、トルコやモロッコでの地震の際の仮設住宅建設や、ウクライナでの木造病院の設計など、世界中で被災地支援を行っています。

紙の間仕切りを使用した避難所

紙の間仕切りを使用した避難所

紙の間仕切りシステムとは、ラップの巻芯としても使われるような紙管をフレームとして用い、布を掛けただけの間仕切りシステム。材料も調達しやすく、組み立てや拡張も簡単であることから、避難所での支援に適しています。

彦根市長 和田 裕行 × 建築家 坂 茂さん ~思いを聞いてみた~

目指すものは、有効活用

市長 和田裕行

彦根市長 和田 裕行

ここ数年で、「SDGs」という言葉をよく目にするようになった人は多いのではないでしょうか。世界中で持続可能な社会づくりが注目される中、彦根市にとっても「有効活用」とは、非常に重要なキーワードです。

世界遺産を目指す彦根城の天守は、大津城の材料を再利用して建てられた可能性が高いと考えられています。彦根城建築の際にも「今あるものを無駄にしない」という思いがあったのかもしれません。

坂さんとの対談では、市長の図書館に対する思いを共有しました。「電子書籍が増える中、それでもやはり図書館が大事だという市民の声は非常に多い。妥協することなく、彦根の新しいシンボルとなるような図書館を作れればと思っています。」

今あるものをどうするか

坂茂さん

建築家 坂 茂 さん

「今ある建物をどうリノベーションするかは世界の大きなテーマであり、ぜひ取り組みたいと思いました。」と語る坂さん。世界のテーマと彦根市の方針がリンクしたことが、今回の事業への参加のきっかけでした。「いい図書館には人が集まる」そんな思いから、市長との対談では、新築に比べて大きな制約がある中、機能性、美しさ、利用者の居心地の良さを最大化する秘訣を話されました。

新図書館のイメージ

彦根屏風をイメージした木のルーバー

木のルーバー

木のルーバー

直射日光を避けて間接光を取り入れる役割を果たすため、外を眺めながら読書ができるとともに、所蔵する本の長寿命化が図れます。機能性の高さと環境への配慮、さらには外観の美しさを実現するデザインです。

音環境に配慮したゾーニング

ゾーニング

話せない、食べられない、スマホが使えないという図書館だと、居心地がよくないと感じる利用者もおられます。入り口付近は賑わいのあるスペースである一方、奥には個室などの静かなコーナーを設けることで、議論の場を求める人にも、静かに読書をしたい人にも居心地のいい空間を提供します。

閲覧

閲覧ラウンジは議論や交流の場としての活用が期待されます。

児童書架

「楽しい」「自由」を表現した、まるで空に浮かぶような児童書架は、子どもが上がってみたいと思うような場所を目指します。

個人閲覧室

個人閲覧室では、静かな空間で集中して読書することができます。

新図書館は、令和10年度の完成を目指しています。

ツーショット

和田市長と坂さん

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図書館の模型

この記事に関するお問い合わせ先

教育委員会事務局 図書館

電話:0749-22-0649
ファックス:0749-26-0300