植物 曽根沼公園付近の主な樹木

更新日:2019年08月30日

曽根沼公園には、公園樹として植栽された木(植栽木)とひとりで生えた木(自然木)とがありますが、大部分は植栽されたものです。

植栽木

ヌマスギ

 ラクウショウ(落羽松)とも呼ばれます。沼地または水中に生える北アメリカ原産のスギ科の落葉針葉高木。雌雄異株。メタセコイアに似ていますが、葉は互生します。地中または水中から呼吸根を出します。

羽のようなヌマスギの枝葉

ヌマスギの呼吸根

ヌマスギ(左)とメタセコイア(右)の葉のつき方のちがい

シナサワグルミ

 中国原産の落葉高木。日本のサワグルミに似ていますが、葉軸に翼があり、実は両側に長いはねがつきます。成長が速いので街路樹として植えられることもあります。ここにある木は「湖畔に植栽文化を育てる会」(故川崎 健史氏主宰)によって1980年ごろ植えられたものです。

シナサワグルミの実と翼の画像

シナサワグルミ

サワグルミ

アキニレ

 川岸によく生える落葉高木。特徴は樹皮が魚のうろこ状にはがれ斑模様をつくることです。また葉は小さいですが厚くて光沢があります。実はだ円形で羽根があり、冬でも残ります。

アキニレの実

アキニレの実の羽根の画像
樹皮がうろこ状にはがれている写真

樹皮がうろこ状にはがれる

クチナシ

 葉は光沢が強く、夏に白い花を咲かせます。香りは強く、良い匂いがし、花が終わると、がくが残って実を包みます。実は昔から衣類や食物の赤色の染料に使われてきました。実は熟しても裂けないので「口無し」といいます。この実は冬には黄赤色となって目立ちます。温暖な地方に生える樹木で、滋賀県には自生しませんが、庭木としてよく利用されます。

クチナシの花と実の画像

クチナシ

トベラ

 葉のへりは下にそり返り、5月ごろ白い花をつけます。実は11月ごろ熟し、3つにさけ赤い種をはき出します。雌雄異株。温暖な地方の海岸に分布しますが、滋賀県には自生しません。

トベラ

トベラの葉と花と実の画像

ヤマモモ

 雌雄異株で、春に花をつけ、夏に雌株に赤い実をつけます。実は甘味があり食べられます。温暖な地方に分布し、滋賀県では伊崎不動(近江八幡市の湖岸)などに自生します。

ヤマモモの種子と葉と実の写真

ヤマモモ

カクレミノ

 葉はほとんど先が分かれませんが、若木の場合は先が3裂します。県内の暖帯に広く分布し、庭木としてもよく利用されています。

先が3つに分かれたカクレミノのノ

カクレミノの葉と果実

カクレミノの葉と果実

スダジイ

 シイの仲間にはスダジイとコジイの2種があります。スダジイはコジイに比べて実が大きくて長いのが特徴です。一方コジイの実は小さくて丸いのが特徴です。しかし中には中間的なものがあり区別は難しいものもあります。曽根沼公園の南側に植栽されているシイは、実が大きく典型的なスダジイです。唐崎神社や天満宮のものは中間的なものが多くなっています。シイの実は冬にでき、しぶがなくて生でも食べられます。

金色に輝くスダジイの葉の裏

3つのスダジイの実の画像

スダジイの実

2つのツブラジイの実の画像

ツブラジイの実

スダジイの実

スダジイの実

カツラ

 葉はハート型で対生します。葉をルーペで観察すると鋸歯の先に1個ずつ腺点があるのが分かります。暖帯~温帯の谷沿いに分布し、彦根市周辺では多賀町の芹川上流部に自生しています。公園中央部の広場に数本植栽されています。

カツラ

葉脈と葉のへりの腺点(矢印の透明な小球)の画像

カツラ

カヤ

 モミに似ていますが、モミの葉は先に2つに分かれているのに対して、カヤは先が分かれずにするどく尖っているのが特徴です。カヤの実は食べられます。公園北側に数本植栽されています。

カヤ(先は分かれない)の画像
モミ(先は2つに分かれる)の画像
カヤの葉の画像

カヤ

アラカシとシラカシ

 公園内に植栽されているカシの仲間は、アラカシとシラカシの2種です。一般にアラカシはシラカシに比べて葉が大きく、鋸歯が尖っていて、側脈の開きも小さくなっています(40度前後)。シラカシは葉も小さくて鋸歯が低く、側脈の開きも大きいです(60度前後)。両種ともドングリができます。ドングリを受ける皿(殻斗)には両種ともよこしま状の模様があります。

アラカシ

シラカシ

シラカシのドングリ(実)

ナンキンハゼ

 中国原産の落葉高木。葉はひし形で、秋には赤く紅葉し美しい。公園東側に道路の街路樹として植栽されています。

ナンキンハゼ

ナンキンハゼ

コブシ

 早春に白い花をつけるモクレン科の落葉高木。モクレンに比べて葉は小さくて質は薄いのが特徴です。冬芽(花芽)は大きく、表面に立った毛が生えています。(モクレンでは冬芽の毛はややねます。)国内に広く分布しますが、近畿地方では山岳部よりも低地部で多く見られます。低地部は人間の影響を最も受けやすく、開発によって減少してきたため近畿地方ではレッドデータ(絶滅の危機に瀕している種)に指定されています。

コブシの葉の画像

コブシ

ハクモクレン(毛はややはねる・やや太い)の画像

ハクモクレン

コブシ(毛は立つ・やや細い)の画像

コブシ

ケヤキ

 川沿いに多い落葉高木。公園樹や街路樹として広く用いられています。葉の緑にはゆるやかにカーブを描くはっきりした鋸歯があり、葉の表面はざらつくのが特徴です。幹や枝はふたまたに分かれ、ほうき状の樹形をつくります。

ヤキのほうき状の樹形と葉の画像

ケヤキのほうき状の樹形

シンジュ

 ウルシのような葉をしていますが、毛はありません。ニワウルシともいいますが、かぶれることはありません。中国原産の落葉高木。葉はカイコ(シンジュ蚕)のえさとなるので戦前養蚕の目的で国内各地に植えられたことがあり県内でも畦畔木として田のあぜなどに名残をとどめているものがあります。また、この木は「雷除けの木」として昔の人に信じられてきました。

シンジュの葉と果実の画像

シンジュ

ツバキとサザンカ

 冬から春にかけて。曽根沼公園ではツバキ科の花が見られます。冬はサザンカ、春はツバキのいろいろな花を楽しむことができます。
ツバキ、サザンカ、カンツバキの区分は次のとおりです。

  • ア.花や葉は大きく、葉の裏には小さな黒っぽい点(黒点)多数ある。普通葉柄には毛がない。…ツバキ
  • イ.花や葉は小~中型
    1. 花期に、葉柄には毛がない。葉の裏にはツバキと同様に小さな黒点がある。…カンツバキ(曽根沼公園には見られません)
    2. 花期に、葉柄には毛がある。葉の裏には黒点がない。…サザンカ

 また、それぞれには八重咲きの品種があります。八重咲きの花をよく観察するとおしべと花びらの中間的なものがつけられます。これは、おしべが花びらに変化していくことを示しています。つまり一重から八重に花びらが変化するのは、一重の花のおしべがそれぞれ花びらに変化したからです。また八重咲きのものに実ができない理由は、このようにおしべの数が減少したからです。

サザンカ
(おしべと花びらとの中間的なものが混じっている)

ツバキの葉芽と花芽
(細長いのが葉芽で丸くふくらんだのが花芽)

センダン

 落葉高木で、ナンテンのような複葉の葉をもちます。初夏に淡い紫色の美しい花を開きます。秋にはだ円形の見(緑色から後に褐色)をふさ状につけます。樹皮は黒褐色で縦にさけます。暖地性の樹木で、滋賀県では琵琶湖畔や低地部に点々と分布しています。曽根沼公園のものは、シナサワグルミと同様1980年ごろ「湖畔に植栽文化を育てる会」によって植栽されたものです。

センダンの葉と花の写真

センダン

クロガネモチ

 雌雄異株の常緑高木。樹皮は白く、若枝や葉柄が赤みを帯びるのが特徴です。雌株には秋に赤い球形の実をたくさんつけます。

クロガネモチの実

植物用語の図解

  • 互生 葉が節に1枚づつ交互につくもの
  • 対生 葉が同じ箇所から2枚同時につくもの
  • 鋸歯 葉のふちにあるぎざぎざの切れ込み
  • 側脈 葉の中心部から外側へ延びる線
  • 葉柄 葉と枝をつなぐ箇所
  • 星状毛 1点から数本、放射状に生え星形に見える細毛
  • 複葉 2枚以上の葉から成る葉
互生の画像
対生の画像
鋸歯・側脈・葉柄の画像
(葉の裏)拡大すると星状毛がある画像
(小葉)葉柄・複葉の画像

自生木

ハンノキ

 水田跡など粘土質のある湿潤なところに自生する落葉高木。1株に雄花と雌花があり、だ円形の実をつけます。曽根沼公園と荒神山との間(山裾)に分布しています。

ハンノキが茂る山の画像
ハンノキの実と雄花の画像

ハンノキ

アベマキ

 ドングリはクヌギに似ていますが、葉はクヌギに比べ裏が白っぽいので区別できます。これは葉の裏に毛(星状毛)が密生しているからです。また、樹皮は縦に深く割れ、コルク質となるのが特徴です。

クヌギ・葉の色は緑色
アベマキ・葉の裏は白っぽい

ごつごつとしたコルク質の樹皮

ナラガシワとコナラ

 曽根沼公園にはナラの仲間が2種あります。どちらも落葉高木で、ドングリの皿(殻斗)にはうろこ状の模様があります。葉は両種とも形は似ていますが、ナラガシワのほうが大きく、葉柄が長い、ナラガシワは山裾や川沿いの低地に多く、コナラは山地に多く分布しています。

ナラガシワとコナラの画像
コナラの樹皮の写真
ナラガシワの樹皮の写真

実をつけたナラガシワ

この記事に関するお問い合わせ先

市民環境部 生活環境課

電話:0749-30-6116
ファックス:0749-27-0395

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