世界遺産登録に向けた取り組み(平成27年度)
県市連絡調整会議と作業グループの開催
県市連絡調整会議は、4月23日、6月1日、8月4日、3月23日に開催し、作業内容の報告と方針の決定を行いました。
作業グループは、平成27年度から滋賀県教育委員会の担当者が加わり、年度内に12回開催しました(下表参照)。5月から7月は、推薦に向けた課題である姫路城との差別化のための検討を行い、報告書を取りまとめ、8月には文化庁へ報告を行いました。9月から1月にかけては、報告書で示した方向性をもとに彦根城の資産を挙げ、その機能や特徴を整理しました。同時に国内の近世城郭との比較研究の方法について議論し、調査に着手しました。1月以降は、彦根城における水の利用に着目し、報告書をとりまとめました。
回 数 | 開催日 | 内 容 |
---|---|---|
第1回 | 5月26日 | 今年度上半期の方針確認、姫路城世界遺産登録推薦書の分析報告 |
第2回 | 6月9日 | 彦根城と姫路城の比較検討 |
第3回 | 6月24日 | 「姫路城との差別化」報告書の検討 |
第4回 | 7月8日 | 「姫路城との差別化」報告書の検討 |
第5回 | 7月24日 | 「姫路城との差別化」報告書の検討 |
第6回 | 8月17日 | 文化庁協議の成果と課題 |
第7回 | 9月4日 | 「姫路城との差別化」報告書で示した視点に基づき、彦根城とその関連資産を検証 |
第8回 | 10月13日 | 「姫路城との差別化」報告書で示した視点に基づき、彦根城とその関連資産を検証 |
第9回 | 11月5日 | 「姫路城との差別化」報告書で示した視点に基づき、彦根城とその関連資産を検証 |
第10回 | 11月20日 | 近世城郭の国内比較の方針 |
第11回 | 1月14日 | 近世城郭の国内比較の方針、彦根城の資産とその特徴について |
第12回 | 2月12日 | 研究報告「彦根城における水の利用」 |
国内外の専門家への意見聴取
- 平成27年4月30日、ローマ大学のパオラ・ファリーニ教授、京都府立大学の宗田好史教授を招聘し、現地視察と意見交換会を実施しました。町並みの保存、景観規制の必要性の指摘を受けるとともに、彦根城の特徴を湖との関係から考えるべきという意見をいただきました。地域の発展過程における彦根城とその関連資産の位置づけなどについて示唆を得ました。
- 平成27年6月4から5日、7月3日、8月15から18日、早稲田大学の西村正雄教授を招聘し、現地視察と意見交換会を実施しました。琵琶湖との関係を重視し、湖国の集落および基層文化に着目すべきとの意見をいただきました。
- 平成27年10月5日、筑波大学大学院の稲葉信子教授との面談を行い、今後の世界遺産登録の進め方について指導を受けました。
- 平成27年10月10日、クリストファー・ヤング氏、京都府立大学の宗田好史教授を招聘し、現地視察を行いました。姫路城にはなく彦根城にあるものは、琵琶湖、武家屋敷、城下町であること、藩主が変わらず領民と深く結びついている点が重要であることを指摘されました。
- 平成27年12月17日、パリ東アジア文明研究センター長のニコラ・フィエヴェ氏が現地視察を行いました。領主の生活空間・文化を示す建築や庭園の総体が残っていることに価値があるという意見をいただきました。
- 平成28年1月6日、国際イコモスアドバイザリー・モニタリング部長のレジーナ・デュリゲロ氏、イコモス・フランス元会長のミッシェル・プラット氏との面談を行い、顕著な普遍的価値の探究方法について指導を受けました。
- 平成28年1月6日、ユネスコ世界遺産センターアジア太平洋課長のジン・フェン氏との面談を行いました。比較研究の方法、文化的景観の手法や参考資料などについて指示を受けました。
- 平成28年1月6日、エクス=マルセイユ大学のニコラ・フォシェール教授との面談を行いました。ヨーロッパの城と封建制度と彦根の相違等について教えを受けました。庭園だけでなく城全体、町全体について、どのような技術でいかに水を利用していたのかを分析する必要があるなどの指摘を受けました。
- 平成28年2月26日、法政大学の陣内秀信教授、京都府立大学の宗田好史教授との面談を行いました。彦根は世界有数の「水都」の典型として評価でき、湖水・湧水の利用技術と借景の造形技術が特徴的であるという意見をいただきました。
専門家による彦根城視察
専門家による玄宮楽々園視察
特別史跡彦根城跡保存管理計画の見直し
平成26年度に設置した「特別史跡彦根城跡保存管理計画・整備基本計画検討委員会」での検討を行い、既存の保存管理計画を改定し、活用の基本方針を加えて名称を「特別史跡彦根城跡保存活用計画」に改めることになりました。平成28年3月末に策定しました。
市民に向けた広報
- 啓発看板の設置(2ヵ所)
- 世界遺産啓発用リーフレットの配布
- 出前講座等による啓発の実施
- 小学生用ガイドブックの作成、市内小学生への配布
- 世界遺産啓発ラッピングバスの運行開始
体制整備
世界遺産登録担当部局を一本化し、教育委員会文化財部に彦根城世界遺産登録推進課を新設しました。前年度に引き続き滋賀県教育委員会から文化財専門職員1名の派遣を受けました。
更新日:2024年09月02日