彦根城世界遺産登録へ大きく前進!
彦根城世界遺産登録へ大きく前進!

彦根城が世界遺産の暫定リストに記載されてから約30年が経過しました。市民の皆さんの中にも、「本当に彦根城が世界遺産に登録される日が来るのだろうか」と思っている人もいるのではないでしょうか。
彦根城は今年10月にイコモスから「世界遺産登録の可能性がある」という事前評価を受けました。
事前評価とは、世界遺産の推薦書を提出する前に、価値などについてユネスコの諮問機関であるイコモスから助言を受ける制度です。専門機関からの助言をもとにユネスコへの推薦書を作成できるので、推薦書の精度が高まり、登録に向けて着実なステップを踏むことができます。
今回の特集では、彦根城が評価された「江戸時代の政治の仕組みがわかる」について具体的にお伝えします。
ユネスコが彦根城を評価した3つのポイント

まず初めに江戸時代にタイムスリップできる場所をご紹介!
~広報担当の森脇と政治の仕組みがわかる場所を巡ろう~
あちこちに残る重臣屋敷
旧西郷屋敷長屋門(旧裁判所横)
重臣たちは、中堀の内側に表御殿(政治をする場所)を取り囲むように住まわされました。当時30軒ほどあった重臣屋敷は、遺構として良く残っていることが調査でもわかっていて、建物も現在3軒現存しています。表御殿との位置関係から重臣が政治の中心にいたことがわかります。

旧脇家屋敷(彦根東高校横)
旧木俣屋敷(開国記念館横)
「こんな近くで暮らしていたんだ~」
大名と重臣の思いをつなぐ場所
玄宮園については、自然を楽しむ庭園としての役割が広く知られていますが、下のイラストのように園内には、大名と重臣が一緒に武術や文化的な活動(流鏑馬(やぶさめ)やお茶、蹴鞠(けまり)など)を楽しみ、価値観を共有することで組織の結束力を高める場所として活用されていた痕跡が残っています。

入ってすぐのまっすぐ長い道では、馬のかけ比べがされていたんです!
彦根城博物館=表御殿=かつての役所
ここは大名(城主)が普段暮らすための場所だけでなく、重臣たちと共に政治について話し合う場で、特に、復元された生活空間と当時の能舞台を見ると、江戸時代に思いを馳せることができます。

「江戸時代の政治の仕組み」って一体どういうもの?
戦国時代との対比から江戸時代の特色をお伝えします。
戦国時代
一つの地域に大名以外にも権力者がたくさんいました(大名の重臣、地主、お寺などなど…)。そのそれぞれが城や館をもっており、争いが日常的に発生していて不安定でした。また、その地域に暮らす住民らも事件が発生したときに、頼る相手がはっきりしていなかったのです。

江戸時代
将軍が大名にお城を預け、そこに住まわせました。大名の重臣たちには自分のお城を持たせず、大名のお城に集めて暮らさせました。その地域の権力が1か所に集まることで、争いごとがなくなり、平和・安定となりました。
大名や重臣が集まって生活しているため、常に価値観や政治方針を共有することで、反乱がない(できない)仕組みになっており、平和が保たれていました。
このように、大名と重臣が共に暮らし、共に政治を行う江戸時代特有の仕組みを「大名統治システム」と呼びます。

これが、重臣屋敷が中堀の内側にあったり、玄宮園で一緒に武術や文化的な価値観が共有された背景です。
世界遺産登録の範囲は?

江戸時代に大名と重臣たちが集まって暮らし、合議政治が行われた範囲を世界遺産の候補地として考えています。
この範囲は、国の特別史跡として保護されており、そのまわりも彦根らしい景観や彦根城の眺望が守られていて、その保存状態をイコモスからも評価されました。
彦根城のアピールポイント
既に世界遺産に登録されている姫路城は、建物そのものの価値・素晴らしさについて評価されています。姫路城に限らず多くの城は、周辺の都市開発などが進み、遺構が残されていませんが、彦根城は、行政だけでなく地域コミュニティにも遺産を大事にする意識が強く、「大名統治システム」を説明できるほど当時のままの姿で遺産が残っている、というところがアピールポイントなのです。
「みんなの力で」彦根城を世界遺産に
彦根を笑顔でいっぱいに、彦根城に誇りをもって
市内に事業拠点がある、株式会社平和堂、キリンビール株式会社(滋賀工場)、株式会社ブリヂストン(彦根工場)の3社から成る「HKB」は、「彦根発!笑顔いっぱいプロジェクト」として活力ある街づくり、地域活性化を応援する取組を行っています。11月3日に、3社から総勢80人の皆さんが彦根城周辺の一斉清掃活動を行われました。
キリンビール滋賀工場
総務広報担当 部長
飯塚 浩一郎 (いいづかこういちろう)さん
「HKBは<持続可能>をテーマに地域貢献活動を開始し、今年で10周年になります。今回は彦根城の世界遺産登録に向けて、少しでも力になれればという思いから、城周辺の清掃を行いました。世界遺産登録への機運醸成につながると嬉しいです。」と話すのは、今回のプロジェクトを企画されたキリンビール滋賀工場の飯塚さんです。地域の住民にとっては身近であり、あるのが当たり前とも言える彦根城の素晴らしさを改めて知ってもらい、誇りに感じてもらえるような活動を意識されています。「例えば、世界遺産登録に向けて、オーバーツーリズムを懸念されていると聞きます。彦根城を見てからキリンビール滋賀工場で工場見学をする流れを作れれば、広域観光という点でも力になれると思います。」


11月3日に行われた彦根城周辺の
「一斉清掃活動」の様子
地域コミュニティの参画
地域の盛り上がりが彦根城の世界遺産登録には欠かせません。今回の事前評価においては、これまで、地元住民や団体、企業が彦根城の世界遺産登録の実現に向けてさまざまな活動を行ってこられたことについて、評価を受けました。
彦根城世界遺産登録までの今後のスケジュール

更新日:2024年11月22日