第10回 身近な人と人権について話してみませんか?~12月は人権週間です~ (2020年12月)
世界人権宣言を知っていますか?
20世紀には世界を巻き込んだ大戦が二度も起こり、多くの人々の尊い命が奪われました。特に第二次世界大戦中においては、特定の人種に対する迫害や大量虐殺など、人権侵害が数多く発生しました。
その反省にたち、「すべての人民とすべての国とが達成すべき共通の基準」として、1948年(昭和23年)12月10日、パリで開かれた第3回国際連合総会において「世界人権宣言」が採択されました。
この宣言は、世界中のすべての人が幸せに暮らせる社会の実現を願い、基本的人権尊重の原則を定めたもので、すべての人々が持っている市民的・政治的・経済的・社会的・文化的分野にわたる多くの権利を内容とし、前文と30の条文からなっています。宣言自体が法的拘束力を持つものではありませんが、初めて人権の保障を国際的にうたった画期的なものであり、世界各国の憲法や法律に取り入れられるとともに、様々な国際会議の決議にも用いられ、各国において強い影響を及ぼしています。
「世界人権宣言」は、すべての人がどのような理由によっても差別を受けることなく、基本的人権が保障されるべきであるということが明記されています。
人権週間って何?
世界人権宣言が採択されたことを記念して、国際連合は12月10日を「人権デー(Human Rights Day)」と定め、世界の加盟国に対し、宣言の意義を訴えるとともに各種の人権啓発活動行事を毎年実施するよう呼び掛けています。
日本では、世界人権宣言が採択された翌年の1949年(昭和24年)より、毎年12月4日から12月10日までの一週間を「人権週間」と定め、法務省及び全国人権擁護委員連合会が中心となって、広く国民の人権意識高揚を図るため、全国各地で様々な人権啓発活動を実施しています。
彦根市では、例年人権週間の初日である12月4日に、市長が一日人権擁護委員となって、駅前やビバシティ彦根での街頭啓発を行っておりました。しかし、今年度は新型コロナウイルス感染症の感染防止の観点から、街頭啓発に代えて、ラジオやインターネット動画配信を通じて市長自らがメッセージを発信するなど、メディアを活用した啓発に変更しました。
彦根駅での街頭啓発の様子(2019年)
一人ひとりの問題として
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴って、感染者や医療従事者、これらの方々の家族などに対する偏見や差別といった新たな人権問題が発生しています。またSNS上で他人を誹謗中傷したり、個人の名誉やプライバシーを侵害、あるいは差別を助長するような情報を発信したりするといったインターネット上の人権侵害も深刻な問題となっています。
もし、自分や家族などの大切な人が、差別や人権侵害を受けたらどのように感じるでしょうか。相手の立場に立って考えること、思いを馳せることが出来れば、何が大事なのかが自然と分かってくることと思います。
私たち一人ひとりが、間違った認識のままではなく、正しく理解して人権を尊重する意識を持つことが何よりも大切です。
「人権週間」を機会に、家庭で、職場で、学校で、地域で、家族と、友達と、みんなと、もう一度、身近なことから人権を考えてみませんか。
自分と同じように、自分以外のあらゆる人に人権があるということへの理解を深め、お互いに相手の立場を尊重し、「人と人とのつながり」を豊かにすることで、周りの人との人間関係ができていくのではないでしょうか。他の誰かのことではなく、自分のこととして捉えながら考えていくことが大事だと思います。
すべての人々が生まれながらにして持っている、幸せに生きていくための権利が人権です。
一人ひとりの命は、かけがえのない大切なものだからこそ、みんなで支え合いながら生きていきたいですね。
第10回身近な人と人権について話してみませんか?(2020年12月) (PDFファイル: 355.7KB)
更新日:2024年09月02日