株式会社むすひグリーンファーム

更新日:2022年12月02日

むすひグリーンファームのトップ画像

彦根市甘呂町を拠点に、その周辺約30haで水稲を中心に麦や大豆、ニンジンを栽培しているのが株式会社むすひグリーンファーム(以下、「むすひ」)です。

むすひは代表取締役(※)の近藤 章さんを筆頭に家族全員で経営をされている農業法人です。今回は章さんと息子の滋彦さん、娘の勝美さんと美紀さんにお話を伺いました。

 

※令和4年6月3日付けで近藤 滋彦さんが代表取締役に就任。

”むすひ”ができるまで

むすひの農業は、章さんと奥様の恭子さんとの二人三脚からスタートしました。近藤さんは、元々は農協の職員で、定年退職後に本格的に農業を開始されました。

最初は5haほどから始まりましたが、人柄の良い章さんの下にはすぐに農地が預けられ、スタートから15年経った現在では30haという規模にまで拡大しています。

滋彦さんも以前はサラリーマンをしておられましたが、5年ほど前に仕事を辞めて就農されました。就農する前には家族会議が開かれたそうで、「農業をしないのならこれ以上の農地拡大はしない。農業をするのならもっと拡大する。どうする。」と章さんに問われた滋彦さんは、3年ほど悩んだ末に就農を決断されました。

その後、令和元年に株式会社むすひグリーンファームが設立され、それに合わせて勝美さんと美紀さん2人が6次産業化もスタートし、農業部門と加工部門を持った法人となりました。

そして、令和4年には代替わりを予定しておられ、滋彦さんが代表取締役を務められます。

(6次産業化とは、「1次産業(生産)×2次産業(加工)×3次産業(販売)」を生産者が一括で行うことを言います。)

 

ムスヒのロゴ

 

むすひのコンセプトは「おむすびのココロで笑顔と元氣を未来につむぐ」。

コンセプト通りのおいしいお米は、食べたら思わず笑顔がこぼれます。

こだわりは”土”に!

むすひでは、お米やニンジンは全て滋賀県の”環境こだわり農産物”の認証を取得しておられます。環境こだわり農産物は、化学合成農薬や化学肥料の使用量を通常の5割以下に減らし、田んぼの濁水を流さない等の琵琶湖などへの環境に配慮して栽培されており、体にも環境にも優しい農産物です。

環境や体への配慮をしながら味にもこだわるむすひでは、土を肥やすために有用微生物を活用し、微生物を活性化させる有機肥料を独自で工夫して使用されているそう。「土にいる微生物が有機物を分解して良い土にするが、分解するためのエサが必要で、そのエサになるような肥料を使っているよ。」と話してくださいました。

土を変えたことで章さんや滋彦さんが驚いたことは、収穫時のニンジンの抜きやすさ!!粘土質で固い田んぼの土なので、当初手作業で収穫をしておられた時には鋤でニンジンを掘り起こす必要があるほど大変だったそうです。

しかし、微生物を活用しふかふかの土になった後は、葉っぱを引っ張ったらスポッと抜けるようになり、機械での収穫も可能になったとのこと。土の中で育つニンジン、土が変われば味も変わるのは当然ですね。

一方で、簡単には行かない部分も。有機肥料は種類ごとに数回に分けて撒く必要があり、撒く量も10aに1t以上必要なものもあります。つまり、70aほどのニンジンを栽培しておられるむすひでは、7t以上の肥料を撒いていることになります。

それに加えて、種を撒いてから芽が出るまで毎日2,3時間かけて水やりをしたり、芽が出たら虫に食べられないように虫との戦いが始まったり。育つまでのご努力は計り知れません。

 

アゲハ蝶の幼虫の写真

 

アゲハ蝶の幼虫は1日あればニンジンの葉を1株以上食べてしまうので、畑を見に行っては幼虫を駆除するそう。

有機栽培で強い農薬が使われていないため、虫との戦いは避けられません。

ニンジンの特徴は?

こだわりいっぱいのむすひのニンジンの特徴は、ニンジン独特のくさみやえぐみが少ないこと。彦根市内(鳥居本小学校を除く)の小学校給食でも使用されていて、今ではほぼ全てのニンジンがむすひのものです。

勝美さんの娘さんはニンジンがあまり好きではないそうですが、むすひのニンジンならニンジンだけのサラダもペロリと食べてしまうそう。学校給食に使われ始めたころには、「給食のニンジンの味が変わった!今まではあまりおいしくなかったけど、なんかおいしくなった。」と気づくほどだそうです。章さん自身も「僕はニンジン好きじゃないけど、うちのニンジンは好きで食べるな。」とおっしゃっていました。

ニンジン嫌いのお子さんのいる方は、一度むすひのニンジンを試してみていただきたいです。

 

人参畑の写真

 

「ニンジンの質に価格が見合っていないんじゃないかな」と勝美さんが思わずつぶやくほど、手間と愛情がかけられたニンジン。

直売所では他のニンジンとあまり変わらない価格で販売されているそうですのでお値打ちですよね。

”むすひ”の想いがつながる

会社名に入っている「むすひ」は、”結び”や”産霊(むすひ)”という言葉が由来だそうで、「ご縁や心をつなぐ」「万物を生み育てる神秘的な力」という意味があります。

その言葉通り、「やっぱりお米がおいしいのが一番!」「食卓に笑顔と元気を!」という気持ちは、食べた人にもつながっているようで、「『やっぱり今まで食べていたお米とおいしさが違う。』『むすひのお米じゃないと子どもが食べない。』と言っていただくこともあるんです。」と勝美さんから伺いました。

また、市内で米糀や発酵食品を販売しておられる”ハッピー太郎醸造所”でも、むすひのお米を原料に使っておられ、注文の量が増えているそうです。「ハッピーさんの商品がたくさん売れているようで、ハッピーさんを通してうちのお米もつながっている。」と嬉しそうに話してくださり、お米を通して自然と人、人と人がつながり、体が作られていく。そんなつながりを感じました。

 

みんなにおいしく食べてもらうために

勝美さんと美紀さんが担う加工部門では、むすひのお米を米粉にし、その米粉を使って小麦や卵や乳のアレルギーに対応したパンやお菓子を作っておられます。

勝美さんは個人で建築士のお仕事をされながら、むすひの加工部門の仕事もされているスーパーウーマン。元々からよくお菓子を作ったりしておられたそうですが、加工部門を立ち上げるきっかけをお伺いすると、「お前も加工で何かやれ」という章さんからのむちゃぶりだったそう。

そこから、こだわりのお米で何かできないかと考え、米粉コンシェルジュの資格を取得し、加工品を完成させておられます。父親からのむちゃぶりをしっかり形にしておられるのはさすがです!

それでも、独学で作り始めたばかりのころは小麦粉と米粉の違いに苦労し、歯が折れそうなくらいのカチカチのクッキーやぺしゃんこのマフィンなど、失敗作がたくさんできてしまったそうです。クッキーのようなサクサクしたものと、パンのようにふわふわしたものでは、お米の品種も米粉にする製粉方法も異なり、加工する際の水分量も違うそうで、試行錯誤を繰り返された結果が今のおいしい商品になっています。

近隣の保育園では、アレルギー対応のおやつを作る材料としてむすひのミックス粉が使われているそうで、小麦や卵・乳製品のアレルギーを持つ人、ヴィーガンの人でも安心して食べられるのが嬉しいですね。

むすひの焼菓子

マフィンなどに使用されているラズベリーやカシスもむすひで栽培したものだそうです。

お米農家のだいどころ ムスヒ

「お米農家のだいどころ ムスヒ」は勝美さんの設計で建てられています。

お店の脇には自生したラズベリーがたくさんできていました。

どこで買えますか?

◇ お米 ◇

すべて環境こだわり認証を受けたお米は、ミルキークイーンという品種は大阪に出荷されて生協で販売されているようですが、その他の品種はJA東びわこへ出荷されています。

直接の小売りはされていないとのことですが、毎年8月中までに予約をすればご対応いただけるそうですので、むすひの微生物活用農法で栽培された笑顔になれるお米を購入されたい方は、「みずかがみ、コシヒカリ、キヌヒカリ、きぬむすめ、ミルキークイーン、秋の詩」のうち、どの品種を何kg購入するかを下記のメールアドレスあてにご連絡ください。

むすひの田んぼ

 

⇒お米の購入予約

株式会社むすひグリーンファーム

[email protected] 】

 

※むすひのお米は、彦根市のふるさと納税の返礼品としても出品されています。

詳細は、ふるさと納税のポータルサイトから確認していただけますので、ぜひご覧ください。

◇ ニンジン ◇

中盤にご紹介した”ニンジン”は、10月20日ごろから3月初旬までの期間にJA東びわこの直売所で主に購入できます。

ニンジンが苦手な方や、ニンジン嫌いのお子さんをお持ちの方は、むすひのニンジンを食べてみる価値ありです!惜しみなく手間ひまかけて作られた、こだわりのニンジンをぜひ一度食べてみてください。

 

◇ 米粉・ミックス粉 ◇

ムスヒのお米を製粉した”米粉”や、ご自宅で米粉のおやつが作れる”ミックス粉”は、加工場に併設された店舗で購入できる他、JA東びわこの直売所やネット販売でも購入できます。ミックス粉は専用のレシピを一緒に教えてもらえます。

コロナウイルスによりお家時間が増えている今、ご家族で米粉を使ったお菓子を作ってみてはいかがでしょうか。

 

むすひの加工品

 

⇒加工販売店舗

「お米農家のだいどころ ムスヒ」

【店舗】 彦根市甘呂町385-1

※現在、店舗での販売は休止中です。

【メール】 [email protected]m

【ネットショップ】 https://3musuhi.theshop.jp/

◇ 米粉のお菓子 ◇

勝美さんがむすひの米粉を使って作る焼菓子は、主にいろいろなマルシェなどへ出店して販売されているそうですが、「お米農家のだいどころ ムスヒ」の店舗前のスペースでも毎月第2水曜日のお昼11時から13時で「はらぺこ市」というマルシェが開催されています。

マルシェへの出店情報はInstagramやFacebookで発信されているそうなので、ぜひチェックしてみてください!

 

 

はらぺこ市の写真

 

⇒ムスヒの出店情報

【Facebook】 @3musuhi

【Instagram】 @musuhi_ef

【LINE】 @ fiw7631a

はらぺこ市の開催情報

https://sansyogumi.shiga-saku.net/

近藤さんご一家の写真

終始笑顔いっぱいで明るく話してくださり、ご家族の仲の良さが感じられました。

農業、加工、経理などしっかり役割分担された家族経営で、食べる人を想ってこだわりいっぱいの農産物が作られています。

この記事に関するお問い合わせ先

産業部 農林水産課 地産地消係

電話:0749-30-6118
ファックス:0749-24-9676

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