台風の知識
台風とは?
台風とは、国際的な取り決めにより、日付変更線(東経180度)より西、東経100度より東の太平洋、南シナ海で生まれた熱帯低気圧のうち、中心付近の最大風速(10分間平均)が34ノット(17.2メートル毎秒)以上のものを台風と呼びます。
タイフーンとは?
タイフーン(Typhoon)とは、日付変更線(東経180度)より西、東経100度より東の太平洋、南シナ海で生まれた熱帯低気圧のうち、中心付近の最大風速が64ノット(32.7メートル毎秒)以上のものをいいます。そして、34ノット以上63ノット以下をトロピカルストーム(熱帯暴風雨)としています。このように海外ではそれぞれ分けて使う場合もありますが、日本では台風、タイフーンどちらも一般的に「台風」と呼んでいます。
台風という名前のルーツ
台風の呼び名には諸説あります。一説には台湾のほうから来る嵐を意味する中国語を、アラビア人がヨーロッパに伝えた言葉で、日本語では「大風」または「颱風」から「台風」と書かれるようになったといわれています。
東経180度以東ではハリケーン(Hurricane)と呼びます。語源は南米インディオの「風の神」に由来という説と、昔のスペイン人たちが、とぐろを巻くという意味の「ウラカーン」と言っていた事からハリケーンと呼ばれるようになったという説があります。東経100度より西ではサイクロン(Cyclone)と呼ばれます。サイクル(旋回)を意味するギリシャ語に由来するといわれています。いずれにしても台風、ハリケーン、サイクロンは、海水温の高い地域で海水が蒸発して生まれた熱帯低気圧が発達したもので、直径100キロメートル~1000キロメートルで反時計回り(南半球では時計回り)の巨大な雲の渦です。
台風の発生個数と上陸個数
台風は年間平均26.2個発生しています。最多発生は昭和42年(1967年)の39個、最少は平成10年(1998年)の16個でした。そして、日本に接近(300キロメートル以内)する台風は年間平均11個で、そのうち上陸する台風は年間平均約3個です。しかし、平成16年(2004年)のように、29個発生し、そのうち10個が上陸して各地に多くの被害をもたらせた年もあります。台風上陸というのは、本州、九州、四国、北海道の海岸線に台風が達したものをいいます。ですから、沖縄や奄美大島の海岸などに達しても上陸とは言わず通過といいます。ちなみに、過去20年間で台風上陸回数の多い地域は、1位鹿児島県、2位高知県、3位和歌山県の順となっています。
最悪の被害
日本で最悪の被害をもたらせた台風は、昭和34年(1959年)の伊勢湾台風(台風15号)で、死者、行方不明者5,098人、負傷者38,921人、家屋の損壊833,965戸、浸水家屋363,611戸などの被害をもたらせました。太平洋とユーラシア大陸に挟まれた日本は、地勢的、気象的に繰り返し台風に襲われる位置にあります。台風の正しい知識を学び、もし台風が発生したら、気象情報に注意して事前に対策をすること、危険と思ったら早期避難が大切です。
風速(秒速)と被害の目安
- 10メートル毎秒
樹木全体が揺れ、電線が鳴る。雨傘をさしていると、壊されることがある。 - 15メートル毎秒
取り付けの悪い看板が飛ぶことがある。 - 20メートル毎秒
身体を30度くらいに傾けないと立っていられない。風に向かっては歩きにくい。
子供は飛ばされそうになる。 - 25メートル毎秒
屋根瓦が飛ばされる。樹木が折れる。煙突が倒れる。 - 30メートル毎秒
雨戸がたわんで、敷居から外れ吹き抜かれる。屋根が飛ばされることがある。
しっかりしていない家が倒れる。電柱が倒れることがある。 - 35メートル毎秒
列車の客車が倒れることがある。 - 40メートル毎秒
身体を45度に傾けないと倒れる。小石が飛ぶ。 - 50メートル毎秒
たいていの木造家屋が倒れる。樹木は根こそぎになる。 - 60メートル毎秒
鉄塔が曲がることがある。
台風の強さは中心付近の気圧等を参考にしつつ、主に最大風速で表します(アメリカはハリケーンをカテゴリー1~5の5段階)
- 弱い台風
風速17.2~25メートル毎秒未満・990ヘクトパスカル以上 - 並みの台風
風速25~33メートル毎秒未満・950~989ヘクトパスカル - 強い台風
風速33~45メートル毎秒未満・930~949ヘクトパスカル - 非常に強い台風
風速45~50メートル毎秒未満・900~929ヘクトパスカル - 猛烈な台風
風速50メートル毎秒以上・900ヘクトパスカル未満
台風の規模(大きさ)は、暴風域の広さで表します
- 大型の台風
風速15メートル毎秒以上の暴風域が半径500キロメートル~800キロメートル - 超大型の台風
風速15メートル以上の暴風域が半径800キロメートル以上
降水量の目安(時間あたりの降雨量と実際の状況)
- 1時間あたり5ミリメートル~10ミリメートル
すぐに水溜りができ、雨音がよく聞こえる - 1時間あたり10ミリメートル~20ミリメートル
雨音で話が聞こえないことがある、長雨の場合災害の警戒が必要 - 1時間あたり20ミリメートル~30ミリメートル
下水があふれ、小河川が氾濫することがある。がけ崩れの危険性 - 1時間あたり30ミリメートル以上
バケツをひっくり返したような豪雨、危険か所は避難準備危険と思ったら自主避難
大雨警報と大雨注意報と気象庁が発する予報の目安
大雨注意報
大雨によって災害が起こるおそれがあると予想される場合で、具体的に次のいずれかになると予想される場合。
- 3時間雨量が40ミリメートル以上、1時間雨量が20ミリメートルを超える場合で総雨量が50ミリメートルになると予想される場合
- 24時間雨量が平地で70ミリメートル以上、山地で100ミリメートル以上になると予想される場合。
大雨警報
大雨によって重大な災害が起こるおそれがあると予想される場合で、具体的に次のいずれかになると予想される場合。
- 1時間に40ミリメートル以上になると予想される場合で、総雨量が100ミリメートル以上になると予想される場合。
- 3時間に70ミリメートル以上になると予想される場合。
- 24時間雨量が平地で150ミリメートル以上、山地で200ミリメートル以上になると予想される場合。
洪水注意報
洪水によって災害が起こるおそれがあると予想される場合で、具体的に次のいずれかになると予想される場合。
- 1時間雨量が30ミリメートル以上になると予想される場合。
- 3時間雨量が50ミリメートル以上になると予想される場合。
- 24時間雨量が100ミリメートル以上になると予想される場合。
洪水警報
洪水によって重大な災害が起こるおそれがあると予想される場合で、具体的には次のいずれかの条件に該当する場合。
- 1時間雨量が40ミリメートル以上になると予想される場合、ただし総雨量が100ミリメートル以上になると予想される場合。
- 3時間雨量が70ミリメートル以上になると予想される場合。
- 24時間雨量が平地で150ミリメートル以上、山地で200ミリメートル以上になると予想される場合。
台風はなぜ7月から9月になると日本に多く上陸するのか(一般的な台風進路)

台風は上空の風(気流)によって動きます。太平洋洋上で生まれた台風は、偏東風に乗ってゆっくり西に向かいます。そして、北緯20度前後、東経130度前後に達すると、今度は偏西風に乗り換えてスピードを上げ北へ向きを変えます(地球の自転も影響)。7月から9月になると、太平洋側には大きな高気圧が張り出してきます。その太平洋高気圧のふちを沿うように、沖縄から九州を経て北または北北東に進みます(その時の気圧配置や高気圧の張り出し具合によってはそのまま、中国、朝鮮半島、日本海に抜ける場合もあります)
台風は北上すると勢力が衰えるのが普通ですが、その時の気象条件や気圧配置によっては、勢力を保ったまま北上します。それらは気象衛星ひまわり(気象庁ホームページへ移動)(別ウインドウで開く)などによって監視されています。
一般的に台風は北上すると、海水温度や気温の関係で徐々にに勢力が衰え(気圧が上がり)、オホーツク海か北海道沖太平洋上に抜け温帯低気圧に変わり、台風の一生を終わります。台風のスピードは平均時速10~30キロメートル毎時ですが、洞爺丸台風のように時速110キロメートル毎時の猛スピードで駆け抜けた台風もあります。特に台風の進行方向右側(東側)の風雨が強くなりますし、台風が通り過ぎた後も吹き返しの強い風に見舞われることがあります。気象情報に充分な注意が必要です。
更新日:2024年09月02日