心肺蘇生法の手順( 乳児・1歳未満)

更新日:2019年10月12日

1 安全を確認する

誰かが突然倒れるところを目撃したり、倒れているところを発見した場合には、近寄る前に周囲の安全を確認する。

状況にあわせて自らの安全を確認してから傷病者に近付く。

2 反応を確認する

声をかけながら反応があるかないかを確かめる。

足の裏を刺激することも有効。

意識を調べるため〇(丸)〇(丸)君どうしたの?と声をかけている写真

3 助けを呼ぶ

反応ががなければ大きな声で「誰か来てください!」と大きな声で人を集め「あなたは119番に連絡してください!」「あなたはAEDを持ってきてください」と具体的に指示する。

助けを呼ぶ為119番通報をお願いします。あなたはAEDを持ってきてください。と声をかけている写真
ポイント
  1. 一人しかいない時は、まず自分で119番通報する。
  2. すぐ近くにAEDがあることが分かっている場合にはAEDを取りに行く。

4 呼吸の確認

10秒以内で傷病者の胸や腹部の上がり下がりを見て「普段どおりの呼吸」をしているか確認する。 普段どおりの呼吸があれば気道確保を行う。 

普段どおりの呼吸がある →気道確保
普段どおりの呼吸なし →胸骨圧迫

5 胸骨圧迫

左右の乳頭を結ぶ線より少し足側を目安とした胸の真ん中を圧迫する。

圧迫は指2本で行う。

1分間に少なくとも100回速いテンポで、30回連続して絶え間なく圧迫する。

圧迫の強さ(深さ)は、胸の厚さの3分の1を目安として、十分に沈む程度に圧迫する。

乳児だからといって、こわごわと弱く圧迫しては効果が得られません。

胸骨圧迫部位の圧迫点は乳頭を結ぶ線より下とわかりやすく説明している写真
胸骨圧迫部位を手でおさえているの写真

6 人工呼吸

人工呼吸について
方法 吹き込む時間と回数 吹き込む量
口対口 1秒かけて2回 胸の上がりが見えるまで

口対口が難しいときは、口対口鼻人工呼吸を実施する。

(1)気道確保

片手を額に当て、もう一方の手の人差し指と中指の2本をあご先にあて、これを持ち上げ、気道を確保する。

手であごをあげ気道を確保している写真

(2)人工呼吸

気道確保をしたまま、額に当てた手の親指と人差し指で傷病者の鼻をつまむ。

乳児の大きさでは、口対口で人工呼吸をすることが難しい場合、口と鼻を同時に自分の口で覆う口対口鼻人工呼吸を行う。

空気が漏れないように約1秒かけてソフトに吹き込み、傷病者の胸が持ち上がるのを確認する。

いったん口を離し、同じ要領でもう1回吹き込む。

人工呼吸の写真
ポイント
  1. うまく胸が上がらなくても2回までとし、すぐに胸骨圧迫から心肺蘇生に進む。
  2. 人工呼吸をためらう場合は、人工呼吸を省略し、胸骨圧迫のみを続ける。

7 心肺蘇生

胸骨圧迫を30回連続して行ったあとに、人工呼吸を2回のサイクル(30対2)を、救急隊に引き継ぐまで絶え間なく繰り返す。

心肺蘇生について
回数 胸骨圧迫 人工呼吸
30対2 少なくとも1分間に100回の速さで30回 吹き込みに1秒かけて2回
心肺蘇生をのための胸骨圧迫をしている写真
心肺蘇生のために人工呼吸をしている写真

ポイント

  1. 胸骨圧迫を続けるのは疲れるので、もし救助者が二人以上いる場合は、1~2分間程度を目安に交代する。
  2. 心肺蘇生を中止するのは次の場合です。
    • 救急隊に心肺蘇生を引き継いだとき。(救急隊が到着しても、あわてて中止せずに、救急隊の指示に従う。)
    • 心肺蘇生を続けているうちに、傷病者が目を開けたり、普段どおりの呼吸をし始めた場合。

普段どおりの呼吸がある →気道確保へ

8 AEDの到着と準備

乳児にもAEDを使用できます。

心肺蘇生の途中で、AEDが届いたらすぐにAEDを使う準備を始める。

(1)AEDを傷病者の近くに置く

AEDを傷病者の近くに置き、ケースからAED本体を取り出すか、ふたを開ける。

AEDを傷病者の横に置いた写真

(2)電源を入れる

AEDの電源ボタンを押す。
(ふたを開けると自動的に電源が入る機種もある)

電源を入れた後は、音声メッセージと点滅するランプに従って操作する。

AEDの電源を入れている写真

(3)電極パッドを貼る

電極パッドの袋を開封し、電極パッドのシールをはがし、粘着面を傷病者の胸部にしっかりと貼り付ける。

電極パッドを貼り付けた時の写真

ポイント

  1. 電極パッドを貼り付ける位置は、電極パッドに絵で表示されているので、それに従う。
  2. 電極パッドを貼り付ける際にも、可能であれば胸骨圧迫を継続する。
  3. 小児用電極パッドが入っていない場合は、成人用電極パッドを使用する。
パッド貼り付け時の重要ポイント
胸が汗や水で濡れている場合 水分をタオルなどで、よく拭き取ってから電極パッドを貼り付ける
AED本体に「成人用電極パッド」と「小児用電極パッド」が入っている場合 小児用電極パッドは未就学児(0歳から小学校入学まで)に使用します。
小児用電極パッドが入っていない場合は、「成人用電極パッド」を貼る。

9 心電図の解析

電極パッドを貼り付けると「傷病者から離れてください!」との音声メッセージが流れ、自動的に心電図の解析が始まる。

傷病者から離れるようにと音声メッセージが出たら、「みんな、離れて!」と注意を促し、誰も傷病者に触れていないことを確認する。

誰も傷病者に触れていないことを確認する写真

「ショックは不要です」などの音声メッセージが流れた場合は、ただちに胸骨圧迫から心肺蘇生(胸骨圧迫30回、人工呼吸2回)を再開します。

10 電気ショック(除細動)

AEDが除細動を加える必要があると判断すると、「ショックが必要です」などの音声メッセージが流れ、自動的に充電が始まる。
充電には数秒間かかる。

充電が完了すると、「ショックボタンを押してください」などの音声メッセージや、ショックボタンの点滅、充電完了の連続音声が出る。

充電中や充電が完了したら、再び「みんな、離れて!」と注意を促し、誰も傷病者に触れていないことを確認してから、ショックボタンを押す。

「みんな、離れて!」と注意を促し、誰も傷病者に触れていないことを確認している写真

11 心肺蘇生の再開

電気ショックが完了すると「ただちに胸骨圧迫を開始してください」などの音声メッセージが流れますので、ただちに胸骨圧迫から心肺蘇生(胸骨圧迫30回、人工呼吸2回)を実施する。

心肺蘇生をのための胸骨圧迫をしている写真
心肺蘇生のために人工呼吸をしている写真

心肺蘇生を再開して2分ほど経ったら、再びAEDが自動的に心電図の解析を行う。

救急隊に引き継ぐまで、または傷病者が目を開けたり、普段どおりの呼吸が出現するまで、「心電図の解析」→「電気ショック」→「心肺蘇生の再開」の手順を繰り返す。

普段どおりの呼吸がある →気道確保へ

到着した救急隊に情報を伝える

救急隊が到着したら、傷病者の倒れていた状況、実施した応急手当、AEDによる電気ショックを加えた回数などを伝える。

この記事に関するお問い合わせ先

消防署 本署

電話:0749-22-6119
ファックス:0749-22-9427

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