令和6年度(2024年度)彦根市当初予算について

更新日:2024年02月20日

令和6年度(2024年度)彦根市当初予算(案)について

 

   平素は、市政各般にわたりまして、ご理解とご協力を賜り、誠にありがとうございます。さて、令和6年度の当初予算(案)を取りまとめましたので、その概要について、ご説明いたしますので、よろしくお願い申し上げます。

   最近の我が国経済は、このところ一部に足踏みもみられるが、緩やかに回復しているとされており、令和6年1月の月例経済報告によりますと、個人消費は持ち直しているが、設備投資については持ち直しに足踏みがみられるとされております。また、企業収益は総じてみれば改善しており、雇用情勢についても改善の動きがみられるとされています。

   先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待されていますが、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念、また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響や令和6年能登半島地震の経済に与える影響に十分留意する必要があります。

   国においては、「令和6年度予算の概算要求に当たっての基本的な方針について」によると、令和6年度予算は「経済財政運営と改革の基本方針2021~2023」に基づき、経済・財政一体改革を着実に推進しつつも、重要な政策の選択肢をせばめることがないよう、歳出全般にわたり、施策の優先順位を洗い直し、無駄を徹底して排除しつつ、予算の中身を大胆に重点化することとしています。また、「経済財政運営と改革の基本方針2023」では、我が国が直面する「時代の転換点」とも言える内外の歴史的・構造的な変化と課題の克服に向け、大胆な改革を進めることとし、構造的賃上げの実現、官民連携による投資の拡大、少子化対策・こども政策の抜本強化を含めた新しい資本主義の加速や防衛力の抜本的強化をはじめとした我が国を取り巻く環境への対応など、重要政策課題に必要な予算措置を講ずること等により、メリハリの効いた予算編成とすることとしています。

   次に、県においては、社会構造と価値観が変容する中、未来を展望し、行動に移す重要な分岐点にあるとの認識のもと、みんなで描き、ともに創る「健康しが」を目指して、子どものために、子どもとともにつくる滋賀県の実現を図るとともに、世界と滋賀の未来を見据えた新たな一歩を踏み出す施策を構築するほか、財政健全化の推進として、県民サービスの充実や将来に向けた投資に積極的に対応していくため、事業見直しによる財源のシフトに全庁挙げて取り組むこととしています。

   本市におきましては、歳入面では、根幹となる市税は、令和5年度と比べると減少を見込んでおり、また、一般財源である地方交付税と臨時財政対策債の総額につきましても、地方財政計画に基づき減少となる見込みです。

   歳出面においては、義務的経費である扶助費やごみ焼却場長寿命化改修といった市民生活に密接に関係する経費が増加する中、2025年に開催されます第79回国民スポーツ大会・第24回全国障害者スポーツ大会(以下、「国スポ・障スポ」)に関連する経費に加え、過去の大型事業に係る市債償還金の増加が大きな負担となっており、今までに類を見ない、非常に厳しい状況にあります。

   令和4年度の本市の決算では、財政指標のうち、財政構造の弾力性を示す経常収支比率は前年度より7.5ポイント増加し94.4%となり、財政の硬直化が進んでいる状況となり、実質公債費比率についても、前年度比0.9ポイント増加の6.9%となりました。特に実質公債費比率については、これまでに実施した大型事業の起債償還が順次始まること、彦根愛知犬上広域行政組合が実施する(仮称)新ごみ処理施設建設事業への負担金などの財政負担が確定している中、さらなる悪化が見込まれることから、今後の財政運営は、一層厳しい状況になることが予想されます。

   こうした中で臨みました令和6年度予算編成は、令和5年度に引き続き、「財政の健全化」を第一に、不要不急の事業、優先順位の低いものについてリセットし徹底した見直しを行いました。一方、重点項目としては「彦根に誇りを持ち住み続けたくなる施策」、「彦根に訪れたくなる魅力・価値を生み出す施策」、デジタル技術の活用による行政事務の効率化の成果が市民に還元される好循環を生む「DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進」の3項目としたところです。

   歳入面では、収入の根幹をなす市税のうち、個人市民税については、ふるさと納税の寄附金税額控除額の上昇が見込まれることから減収の見込みであり、法人市民税についても、主要法人のコロナ禍からの反動による業績好調が一巡することが見込まれることから減収としたものです。次に、固定資産税についても、評価替えによる家屋の減価に伴う減収を見込んでおり、これらを合わせた市税総額では、前年度当初予算より減少となったものです。

   さらに、地方交付税と臨時財政対策債を合わせた地方交付税の総額は、国の地方財政計画の試算によりますと、前年度よりも減少する見込みであり、例年以上に一般財源の不足が深刻な状況であったことから、財政調整基金を全額取り崩した上で、さらに各種基金を取り崩すことで、前年度と同程度の一般財源総額を確保したところであります。

   歳出面につきましては、義務的経費である人件費、扶助費、公債費が増加するほか、施設等の長寿命化のための修繕経費をはじめとした維持管理費の増加等、硬直化している財政状況に変わりはないため、人件費も含め、あらゆる経費について徹底的に見直しを図るとともに、「彦根に誇りを持ち住み続けたくなる施策」、「彦根に訪れたくなる魅力・価値を生み出す施策」、「DXの推進」を重点事項として定め、国スポ・障スポ関連事業、国の施策として実施している福祉的な扶助費や義務教育を実施する上で不可欠な教育費、さらに道路、橋りょうなどの公共財の維持費を根幹として予算編成を行いました。

   次に、予算案の概要についてですが、彦根市総合計画に従って、以下順にご説明いたします。

   最初に、政策の方向性1つ目「だれもがその人らしくいきいきと暮らし、つながり支え合うまち」における「人権・多文化共生」、「健康・福祉・医療・生涯学習」の分野であります。

   まず、人権が尊重されるまちの実現に向け、令和6年3月改定予定の「人権施策基本方針」に基づき、人権施策の総合的な展開を図ります。職場や地域においては、人権意識が高揚され人権感覚が醸成されるよう、引き続き啓発を推進してまいります。また、市民の主体的な啓発活動の定着と促進を図るため、引き続き各学区人権教育推進協議会へ支援いたします。さらに、ひこねかがやきプラン3に基づき、男女共同参画社会の実現に向け、市民、事業者および行政との協働による取組を積極的に行います。また、「多文化共生推進プラン」に基づき、多文化共生社会の実現に向けて、市民の国際理解の促進と外国人住民への支援等に係る施策を引き続き行うほか、次期改定に向けた意識調査を実施いたします。併せて、近年、ベトナム人住民が急増していることから、ベトナム語通訳者の体制を充実するとともに、国際交流につきましては、引き続き湘潭市やアナーバー市との交流に取り組んでまいります。

   保健・医療の充実につきましては、第4次ひこね元気計画21に基づく事業を推進するほか、引き続き健康診査、妊婦健康診査、乳幼児健康診査および各種予防接種を行います。また、積極的勧奨が再開されたHPVワクチンについて、9価ヒトパピローマウイルスワクチンの定期接種、キャッチアップ接種に対応してまいります。さらに、医療機関において不育症の検査および治療を受けた夫婦の経済的負担を軽減するため、不育症治療費助成事業を実施します。また、がん検診では、子宮頸がん、乳がん、大腸がん、胃がん、肺がんのいわゆる5大がんについて、引き続き、効果的、効率的な個別の受診勧奨を行うとともに、受診率の向上とがんの早期発見、早期治療の推進を図ります。さらに、がん患者の社会参加促進と療養生活の維持向上を目的として、アピアランスサポート事業を実施します。

   また、健康診査では、肝炎ウイルス検診について、40歳から60歳までの5歳刻みの節目年齢の方に、全額公費負担による検診を引き続き実施するほか、予防接種については、予防接種法に基づく乳幼児を対象にした定期接種の全額公費負担を引き続き実施するとともに、造血幹細胞移植後等の再接種費用の助成を行います。さらに、生活習慣病との関わりが大きい歯周病等の早期発見と口腔内環境の改善等を目的として、40歳から60歳までの10歳刻みの節目年齢の方を対象として、歯科健康診査を実施いたします。

   まち・ひと・しごと妊娠出産包括支援事業において、妊娠期からの切れ目のない支援と子育て世代の孤立化を防ぎ、虐待を防止するため、子育て世代包括支援センターを引き続き開設し、相談・支援を行います。また、助産師や保健師による乳児家庭の全戸訪問の実施に加え、家族から十分な育児支援を受けられない出産後1年未満の女性や乳児に対して、産後のショートステイやデイサービスを行う彦根市産後ケア事業を引き続き実施し、対象者の心身の安定と育児不安を解消し、安心して子育てができる支援体制を整えます。また、妊婦・子育て家庭への伴走型相談支援と経済的支援の一体的実施に取り組むとともに、小児救急医療および産科医療機関の体制確保に係る支援を実施してまいります。

   また、子どもの医療費助成制度では、小学校6年生までの通院医療費の助成および中学校3年生までの入院医療費の助成について、それぞれ高校生世代まで対象を拡大して実施いたします。

   国民健康保険事業においては、引き続き、特定健康診査の自己負担額を無料とし、受診率を引き上げ、生活習慣病の発症予防および早期発見を目指すとともに、被保険者の健康意識を高めてまいります。

   後期高齢者の保健事業につきましては、滋賀県後期高齢者医療広域連合と連携して、保健事業と介護予防の一体的な実施などに引き続き取り組んでまいります。

   市立病院につきましては、湖東保健医療圏の中核病院として今後も地域に貢献できる病院であり続けるため、令和5年度中に策定する彦根市立病院経営強化プランに基づき、持続可能な経営基盤の確立に努めてまいります。また、医師事務作業補助者や夜間看護補助者の配置により、業務の負担軽減を図り、働き方改革への取組を進めていくとともに、高度・先進医療を提供していくための医療機器や電子カルテシステム等の各種システムを順次更新してまいります。さらに、長寿命化計画に基づき、照明設備のLED化や昇降機の更新工事などを実施し、計画的な施設の維持管理に努めていくほか、がんに係る外来化学療法を行っている「通院治療センター」の拡充工事やМRI装置の更新を行います。

   障害福祉につきましては、障害者総合支援法および児童福祉法に基づき、障害のある人や子どもが基本的人権を享有する個人としての尊厳にふさわしい日常生活や社会生活を営めるよう、各種障害福祉サービスや障害児通所支援のサービスを提供するとともに、障害のある人やその保護者への相談支援事業や、一人ひとりの状況やニーズに応じた移動支援や日中一時支援などの地域生活支援事業を、引き続き実施します。

   障害のある人の社会参加の促進につきまして、自動車燃料費およびタクシー運賃の助成を行い、引き続き重度障害のある人の社会参加の促進を図ってまいります。さらに、民間企業等への通勤等に係る支援を引き続き実施します。また、日常生活用具給付等事業において、人工呼吸器用外部バッテリー等を新たな給付種目として位置付けます。

   自殺対策につきましては、彦根市いのち支える自殺対策計画に基づき、誰もが自殺に追い込まれない社会の実現に向けて、全庁的な取組を進めます。

   障害者福祉センターでは、創作活動や生活訓練などを通じて障害のある人の日常生活や社会生活の充実を図ります。

   発達支援センターでは、引き続き、乳幼児期の療育と発達障害児・者のライフステージに合わせた支援を行います。

   高齢者福祉につきましては、単位老人クラブに対して引き続き支援を行うほか、権利擁護サポートセンターにおいては、湖東圏域の1市4町で取り組み、成年後見制度をはじめとした高齢者等の権利擁護全般の支援を行います。また、増加している要介護認定の申請に対する要介護認定事務の遅延や、市内の介護支援専門員の離職に伴い、介護サービスが必要な人を適切に認定し、保険給付につなげられていない状況になっていることから、効果的・効率的な介護給付を推進するために、要介護認定事務のデジタル化および介護支援専門員への支援を緊急的に実施してまいります。

   介護予防・日常生活支援総合事業につきましては、自立支援と介護予防に向けて訪問型および通所型サービス等を実施するほか、地域において住民の皆さんの参画による支え合いの体制づくりを推進してまいります。また、日常生活圏域ごとの課題に対応し、包括的な支援体制の整備を進めるため、引き続き、地域包括支援センターの体制の充実を図ります。

   在宅医療と介護の一体的な連携を推進するため、在宅医療福祉推進事業を実施するほか、認知症への理解を深め、サービス体制の充実を図るため、認知症あったかサポート事業を引き続き実施するとともに、これらの事業を中核として、高齢者が住み慣れた地域で、安心して暮らし続けることができるよう、地域包括ケアシステムの深化・推進に向けた事業を展開してまいります。

   生活支援体制の充実については、生活保護法に基づき、生活保護制度の適正な実施を図ります。また、生活困窮者自立支援法に基づき、生活に困窮する方への包括的な支援等を行うため、各種支援員を引き続き配置します。さらに、社会福祉法に位置付けられる重層的支援体制整備事業の枠組みにおいて、彦根市における地域共生社会の実現に向け、総合的な相談支援体制づくりや、地域の課題の解決に向けて関係機関等が、それぞれの立場で「我が事」として取り組む地域づくりのための「我が事・丸ごと」の地域づくり推進事業を、引き続き実施してまいります。

   生涯学習につきましては、幅広い地域住民等の参画により、地域・家庭と学校が連携・協働しながら地域全体で子どもの成長を支えるため、引き続き地域学校協働本部事業を全中学校区で実施するほか、地域とともにある学校づくりを進めるため、令和6年度には全小中学校においてコミュニティ・スクール(学校運営協議会制度)を導入します。

   公民館につきましては、学びや住民相互の交流と連携の輪を広げる取組を、引き続き推進します。

   また、図書館につきましては、図書資料の購入、および湖東定住自立圏域内における図書館ネットワークの構築に向けた取組を、引き続き推進します。さらに、図書館施設の整備・充実を図るため、旧ひこね燦ぱれすの図書館化に係る基本設計に取り組んでまいります。

   次に、政策の方向性2つ目「子ども・若者が自分らしく輝き、学び躍動するまち」における「子育て・次世代育成・教育」の分野であります。

   まず、次の時代を担う子ども・若者の健やかな成長および自立を応援するため、第3期彦根市子ども・若者プランの策定を進めてまいります。

   次に、子ども家庭支援につきましては、子どもセンターおよびふれあいの館において、引き続き指定管理者による管理運営を行い、子どもに健全な遊びの機会を提供し、子育て親子の交流を促進するなど、子ども達の健やかな育ちを支援します。

   また、乳幼児およびその保護者が相互に、子育ての相談、情報の提供などが受けられる場所として、子どもセンターをはじめとする市内4か所に地域子育て支援センターを開設し、在宅乳幼児とその保護者への支援を行うことで、地域における子育て支援の充実を図ります。

   さらに、児童虐待防止や子育て不安の解消を図るため、家庭相談員が中心となって事業の充実に取り組むとともに、学校長期休暇時の支援対象児童の見守りを強化します。また、新たに養育費確保に関する補助金の対象経費として弁護士等への相談に要する経費を追加するほか、配偶者暴力防止のため、女性相談支援員の設置、ひとり親家庭の自立支援のため、自立支援教育訓練補助金等の交付を引き続き行うとともに、母子・父子自立支援員と母子・父子自立支援プログラム策定員を配置し、就労支援や貸付相談を積極的に実施します。

   育児・家事等に不安・負担を抱えながら子育てを行う家庭のほか、家事や家族の世話を18歳未満の子どもが行っている、いわゆるヤングケアラーが属する家庭等に対しましては、訪問支援員を派遣し、育児手技の指導、家事の支援等を行うことで家庭の負担を軽減し、子どもの養育環境の改善を図ります。

   児童扶養手当について、ひとり親家庭等において18歳の年度末までの児童等を扶養している方に、引き続き、手当を支給し、児童の福祉の増進を図ります。

   幼児教育・保育につきましては、民間保育所、認定こども園等に、子ども・子育て支援新制度に基づく施設型給付費を支給し、保育環境の向上と、施設運営の安定を図ります。なお、育児休業からの職場復帰に向けた保育所入所に関する保護者の不安を解消するため、出産後の保育認定期間をこれまでの6か月から1年に延長するほか、これまでの第2子以降の育児休業終了後の入所予約に加え、令和6年度途中からの第1子の育児休業終了後の入所予約を設けます。また、障害児保育事業、低年齢児保育事業や保育中に児童が体調不良等になった場合に看護師等が対応する病児保育事業など、多様な保育サービスへの補助を行います。幼児教育・保育の無償化制度により、新制度未移行幼稚園、一時預かり保育、認可外保育施設等を利用する保育認定を受けた児童に対しても施設等利用費を支給します。また、民間保育所の大規模修繕などの施設整備に対する支援を行うほか、使用済紙おむつの園内処理に係る費用について引き続き補助を行います。

   保育士等の人材確保としましては、市内保育所等に新たに勤務する保育士への奨学金返済支援制度、民間保育所等に対して保育士宿舎借り上げ支援事業補助金を継続して実施いたします。

   放課後児童クラブにつきましては、引き続き、安定的な運営とより安全で充実した保育を目指し事業を実施してまいります。また、引き続き放課後児童支援員等の処遇改善に取り組みます。

   また、ひきこもり等様々な悩みを抱える子どもや若者、家族を対象にした支援として、子ども・若者総合相談窓口を開設し、相談や助言、必要な情報提供などを行い、総合的に支援してまいります。また、生きづらさのある若者が一歩を踏み出す居場所となるサロンを、引き続き開設してまいります。さらに、こうした子ども・若者を応援する市民や団体等の地域人材を掘り起こし、継続的に活動を支援するなどのバックアップを彦根市社会福祉協議会に委託し、子ども・若者を応援する体制を構築してまいります。また、子どもの貧困対策として、同協議会が支援している子ども食堂や学べる場など、子ども達の居場所づくりへの取組に対して、支援するなど連携・協力して取り組んでまいりますほか、ひとり親家庭の中高生等を対象に、学習支援や食事の提供を行う居場所を提供し、子ども自身の「生きる力」に働きかけ、ひとり親家庭の子どもの生活向上を図ってまいります。

   また、引き続き学校等で地域未来塾を開設し、放課後や土曜日等に大学生や教員OB、地域住民の協力を得て、学習を深めたい子ども達をはじめ、家庭での学習習慣が十分身についていない子どもや個別の支援が必要な子どもへの学習支援を行ってまいります。また、教員の業務支援を図るため、スクールサポートスタッフを引き続き配置し、教員が児童生徒への指導等に注力できる体制を整備します。

   学校教育につきましては、小学校就学前教育と義務教育の円滑な接続を図り、「生きる力」を育む教育の重要性から、引き続き小一すこやか支援員を9月末まで配置するとともに、特別な支援を必要とする児童生徒の支援を充実させるため、特別支援教育支援員・医療的ケア支援員を配置するほか、学校の図書室での読書活動の推進を図れるよう、読書活動推進支援員を配置します。さらに、外国人児童生徒等やその保護者への支援の充実では、ポルトガル語およびタガログ語対応の支援員の配置により、母語による相談、通訳、翻訳および日本語支援を行ってまいります。

   中学校の水泳事業につきましては、老朽化した学校プールの維持管理費の削減を目的とし、併せてより安全安心で充実した水泳授業を実施するため、西中学校に加えて稲枝中学校において民間プールを活用した水泳事業を実施します。また、中学校部活動については、新たに拠点校方式による地域移行を進めてまいります。

   不登校や集団不適応など、様々な問題を抱える児童生徒や、保護者に対しての早期対応と支援につきましては、訪問教育相談員を学校に派遣するとともに、ともづなカウンセリング事業等の教育相談活動の実施、教育支援教室「オアシス」の運営を行います。

   加えて、フリースクールに通う子どもの保護者に対する補助制度を継続し、不登校児童生徒への学びの場の提供を支援します。

   いじめや暴力行為、不登校など様々な課題を抱える児童生徒への対応、支援について、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカー等の派遣を行い、家庭と学校が一体となり、生徒指導上の諸課題の未然防止や早期発見・早期対応に努めますとともに、支援を必要とする児童生徒やその保護者の支援を行ってまいります。さらに、いじめ問題調査委員会を引き続き設置し、重大事態が発生した場合に、即座に対応できるよう体制を整えてまいります。

   なお、学校・園の全教育活動を通じて、人権教育を推進し、いじめや差別を許さない幼児・児童生徒の育成に努めるとともに、社会の一員として様々な人権問題についての正しい理解と認識を培い課題解決に向けた実践力を育んでまいります。さらに、彦根市人権教育研究大会の開催により、人権教育の推進や市民一人ひとりの人権意識の高揚を図ってまいります。また、経済的理由から高校就学が困難な状況にある成績優秀な生徒に対しては、引き続き奨学金給付事業基金を活用することにより、奨学金の給付を行ってまいります。

   学校の施設整備等につきましては、施設の維持管理に努めていくほか、学校備品について、天板の大きい新JIS規格の学習机を昨年度に引き続き、年次的に中学生から更新していきます。

   また、学校給食につきましては、学校給食費食材価格高騰対策事業を実施し、物価高騰による給食物資の価格上昇分を保護者負担に転嫁しない取組を進めます。

   青少年の育成につきましては、非行等の問題を抱える少年に対応し、「あすくる彦根」において、就労や学校復帰など立ち直りに向けた学習支援・生活習慣の確立への支援を、引き続き行います。

   さらに、彦根市まち・ひと・しごと創生総合戦略による地方創生関連事業につきましては、本市の魅力や良さを知ってもらう移住体験ツアーを実施するほか、東京圏から移住し、県が運営する企業情報サイトに掲載されている法人に就職するなど、一定の要件を満たした場合には移住支援金を交付し、本市への移住者のさらなる増加を図ってまいります。また、市内居住等の要件を満たす場合には、住宅取得や奨学金返還の支援を行います。さらに、子ども・若者支援事業、地域子育て支援事業、まち・ひと・しごと妊娠出産包括支援事業などの事業を実施し、定住および交流人口の増加を図ってまいります。

   次に、政策の方向性3つ目「歴史・文化を生かし、にぎわいと特色ある産業が育つまち」における「歴史・伝統・文化」、「観光・スポーツ」、「産業」の分野であります。

   文化・芸術の振興につきましては、春・秋の文化祭や美術展覧会の開催、市民文芸作品の募集のほか、引き続き小中学生を対象とした俳句・短歌等の文芸作品の募集を行うなど、日本の文化に触れる機会を提供いたします。また、ひこね市文化プラザやみずほ文化センターの管理運営について、引き続き指定管理者に委託し、市民サービスの向上に努めてまいります。

   文化財の保存と活用につきましては、まず、特別史跡彦根城跡について、国宝・重要文化財(建造物)彦根城天守ほか6棟保存活用計画に基づき耐震補強・防災設備整備を引き続き進めるほか、彦根城域の維持管理等の業務を引き続き外部委託するとともに、令和6年10月から城山観覧料を改定し、さらなる観覧料収入の増加を図ってまいります。

   さらに、旧井伊神社社殿については、修復に向けた取組を引き続き進めるほか、彦根城堀外来魚駆除大会を開催し、彦根城の景観や生態系の保全に取り組んでまいります。

   また、彦根城の世界遺産登録を推進するため、県と市が共同で立ち上げた協議会を中心に、ユネスコに提出する推薦書素案の作成を進めるとともに、世界遺産登録に市民が主体的に取り組む機運の醸成を図ってまいります。さらに、彦根城博物館では、企画展「井伊(なお)(おき)と永源寺南嶺慧詢(なんれいえじゅん)」をはじめとする展覧会を年間10回開催し、彦根藩資料調査研究会などの調査研究、および、井伊家伝来の雛人形をはじめとする館蔵品の保存修理などを行います。加えて、令和6年10月から博物館観覧料を改定し、さらなる観覧料収入の増加を図ってまいります。

   スポーツ振興につきましては、彦根市スポーツ・文化交流センターの管理運営について、指定管理者に委託し、各種スポーツ教室等を開催してまいります。さらに、彦根シティマラソン等スポーツイベントの開催、スポーツ推進委員を中心とした地域活動の推進および各種社会体育関係団体の活動支援に努めるとともに、体育施設の適正な管理に努めてまいります。また、引き続き、トップアスリートを激励し、市民のスポーツ意欲の向上やスポーツの推進を図ってまいります。また、国スポにおいて本市で開催する各競技会の円滑な運営に必要な準備を行うため、実行委員会への経費負担を行ってまいります。

   農業の振興につきましては、地域の担い手や中小の農業者に対する所得の安定対策に努めるとともに、農業経営の安定化を図るための担い手の支援では、営農経営指導員を配置し、農地の集積化に取り組む地域や、農業者への助言や指導・助成を引き続き行うほか、農業経営基盤強化促進法等の一部改正を受け、地域計画の策定に向けた取組を継続してまいります。また、農業の持つ多面的な機能を維持するため、多面的機能支払交付金事業により、集落の共同活動などを支援するとともに、環境保全型農業を推進するため、環境に配慮した営農活動に対して支援を行います。

   また、有害鳥獣による農作物被害を防ぐため、捕獲・駆除の対策を引き続き実施するほか、緩衝帯整備事業を実施し獣害対策に努めてまいります。

   土地改良事業につきましては、農業水利施設等の維持管理や整備を推進するとともに、引き続き土地改良技術専門員を配置し、土地改良区に対して事務局・事業執行体制の基盤の強化のための支援を行います。

   林業につきましては、引き続き森林整備や林道の管理に取り組み、森林の有する多面的機能の維持管理に努めますほか、森林環境譲与税を活用して、新たに森林経営管理法に基づく森林所有者への経営管理意向調査を行うほか、林道の維持補修等を実施します。

   水産業につきましては、彦根市漁業協同組合連合会が取り組む地域産業資源の開発について、その活動費および組織運営に対して支援を行うほか、新たに市内の湖沼における魚類等の調査を行い、将来にわたった水産資源の活用の検討を行います。

   商工業につきましては、商工会議所・商工会等が取り組む事業への支援を行うほか、商店街の活性化に向けた取組の支援や、地場産業の振興に努めてまいります。また、工場等の増設などに対する事業所設置助成事業を継続してまいります。さらに、物価高騰に直面し、影響を受けている生活者を支援することを目的に地域経済対策リフォーム事業を継続して実施いたします。

   魅力ある観光都市への取組としましては、引き続き、市域の観光事業を総合的に推進する公益社団法人彦根観光協会を支援するなど、誘客や宣伝について展開するほか、彦根城の世界遺産登録に向けてインバウンドへの対応を行ってまいります。また、誘客イベントとして、「ひこねの城まつり」を開催するとともに、ご当地キャラ博などへの開催支援を行うほか、各界で活躍する著名人を観光大使に委嘱することにより、本市の知名度のさらなる向上を図ります。さらに、彦根市ロケーション誘致アンバサダーを設置し、積極的に映画やテレビ番組等のロケを誘致し、彦根の魅力について映像を通して全国に発信します。「ひこにゃん」につきましては、引き続き、本市にお越しいただいている方々に楽しんでいただくため、彦根城を中心に登場するなどして、観光客のおもてなしを行うほか、新たなイラスト等を作成するなど、本市のPRにつながる各種事業を展開します。また、彦根城の入場券販売所において、お土産NFTカードを販売することにより、彦根の文化財をはじめとする地域資源に対する関心を集め、本市への再訪効果を見込みます。

   次に、政策の方向性4つ目「豊かな自然と共生し、安全・安心で快適なまち」における「環境形成」、「都市基盤」、「安全・安心」の分野であります。

   環境保全型社会の構築につきましては、第3期彦根市環境基本計画および地域行動計画に基づき、特定外来生物等の駆除や市内の自然の紹介・記録活動など、生物多様性保全の観点から捉えた取組のほか、市内の河川・水路の水質調査、保存樹木等への補助など、水とみどりの保全と活用に向けた事業を実施してまいります。

   資源循環型社会の構築につきましては、家庭における生ごみのたい肥化による生ごみ削減をはじめ、資源回収に対する奨励金の交付など、ごみの減量とリサイクルの推進を引き続き実施するとともに、家庭系燃やすごみの組成分析調査を行うことで、ごみ減量に有効な啓発や施策を進めてまいります。

   また、清掃センターでは、老朽化の進んだ焼却炉を新ごみ処理施設稼働まで維持するため大規模修繕を、令和4年度からの3か年計画で行うほか、3t塵芥車の更新整備を行います。衛生処理場、粗大ごみ処理場についても、定期整備工事を計画的に実施し、安定的な処理ができるよう努めてまいります。

   さらに、家庭から出るごみや資源を集積所まで運ぶことが困難な、一人暮らしの高齢者等を対象とした戸別収集を、引き続き実施いたします。

   計画的な土地利用につきましては、湖東圏域南部の玄関口であるJR稲枝駅におけるアクセス道路として、引き続き稲枝西口停車場線の整備を進めてまいります。

   都市環境基盤の整備につきましては、まず、空き家対策では、空き家バンクを通じた既存住宅の取得を支援します。また、公営住宅等長寿命化計画に基づき、公営住宅の改善工事に、引き続き取り組んでまいります。

   金亀公園については、管理運営の官民連携に向けた取組を進めてまいります。

   また、国スポ・障スポ主会場の周辺整備の一環として、松原町大黒前鴨ノ巣線や大黒川等の整備を進めてまいります。

   水道事業につきましては、水道水の安定供給のため、耐震化を含む老朽配水管の更新工事や大藪浄水場浄水施設等の更新整備を引き続き行います。

   下水道事業につきましては、引き続き生活排水対策として、下水道の整備により、未普及地の解消を図り、水洗化の促進に努めてまいります。

   総合的な交通体系の確立につきましては、市道の整備や維持管理を引き続き行うとともに、通学路等の点検結果に基づき、子どもたちが安全に通学できるよう整備を行います。橋りょうについては、長寿命化を図るため、橋りょう修繕工事を実施します。さらに、交通安全対策として、歩行者や車両の安全を確保するため、ガードレールやカーブミラー等の交通安全施設の整備を進め、安全で快適なまちづくりを目指します。また、積雪時における交通の確保を図るため、円滑な除雪作業を行うほか、生活道路についても自治会等の団体が自主的に実施する機械を使用した除雪作業および、除雪活動に必要な機械購入に対して引き続き補助してまいります。

   公共交通対策につきましては、地方バス路線の運行経費に対する補助、予約型乗合タクシーの運行費を負担するほか、観光客の回遊性や利便性を高めるため、ご城下巡回バスの運行を支援してまいります。また、令和6年4月1日から近江鉄道線の上下分離方式への転換に伴い、一般社団法人近江鉄道線管理機構の運営費等を負担します。

   安全で安心できる生活環境の確保につきましては、河川改良について、調整池の改修を行いますほか、浸水対策として、猿ヶ瀬排水区および高宮新川排水区の雨水幹線整備を、引き続き実施します。

   地域防災対策につきましては、地域防災計画等に基づき、災害対策用備蓄品等の整備のほか、防災出前講座の実施や市内全域における自主防災組織の設置促進、防災用資機材の整備に対する助成を行うとともに、自主防災組織の育成等に一層努めてまいります。さらに、災害時において、市民の皆さんへ迅速かつ正確な情報伝達を行うため、同報系屋外放送設備を市内13か所に整備するとともに、市防災行政無線の更新に向けた取組を進めてまいります。その他、県が実施する、広域農道に架橋された農道橋の補修工事に対して、引き続き応分の負担をしてまいります。また、市域の地震に対する安全性の向上を図り、地震に強いまちづくりを促進するため、既存建築物の耐震化等の支援や、道路に面するブロック塀等の地震による倒壊被害を防止するための支援を引き続き行います。

   また、自治会が設置する防犯灯の設置補助を引き続き実施します。防犯灯の設置補助では、LED防犯灯の新設や既存防犯灯のLED化に対する補助制度を継続してまいります。

   消防体制につきましては、消防本部(署)庁舎に係る非常用発電設備の改修工事などを行うほか、消防団に配備している消防ポンプ自動車の更新整備を行います。

   バリアフリーの推進につきましては、引き続き彦根駅、南彦根駅、河瀬駅、稲枝駅に設置されている自由通路等のエレベーターやエスカレーターを適正に維持管理してまいります。

   消費者保護につきましては、彦根市消費生活センターに専門知識を持った消費生活相談員を配置し、消費者保護に関する総合的な施策を引き続き行います。

   最後に、「政策推進のための取組」における「市民協働・地域コミュニティ」、「行財政基盤」の分野であります。

   市民活動の促進につきましては、相談窓口を設置するとともに、コミュニティ活動の活性化を図るため、自治会を対象としたまちづくり推進事業総合補助金などによる支援を、引き続き行ってまいります。

   美しいひこね創造事業においては、引き続き、地域通貨「彦」を発行し、エコバッグやごみ袋、公園使用料などと交換できるものとして、市内流通を図り、地域の活性化につなげてまいります。

   その他の施策としまして、行政情報化に向けた取組につきましては、予算編成の重点項目であるDXの推進として、デジタルツール等を活用した業務改革(BPR)を引き続き行い、事務の効率化や市民サービスの向上を推進してまいります。また、令和7年度に開始予定の基幹系システムの標準化およびガバメントクラウドへの移行に向けた取組を進めてまいります。さらに、本庁舎1階に設置するコンビニエンスストア開店に伴う経費の計上、屋上展望スペースの緑化改修などの庁舎維持管理に取り組むほか、文化・スポーツ施設などにおける公共施設予約システムについて、使用申請のオンライン化や施設使用料のキャッシュレス決済を導入することで、市民サービスの向上を図ります。また、本市を拠点とした県内初のJリーグクラブ誕生に向けた取組を推進してまいります。

   最後に予算編成の総括となりますが、一般会計における各部局からの予算要求額は、事業費ベースで約500億円にのぼっておりましたが、全ての事業について徹底した見直しを行い、また、投資的事業についても極力延伸を行いました結果、約36億円減の約464億円の予算規模にいたしました。しかしながら、依然として約25億円の一般財源が不足となったため、財政調整基金を全額取り崩した上で、減債基金、その他特定目的基金の取り崩しをもって対応したところです。この結果、令和4年度決算で約23億円もの実質収支黒字となったにも関わらず、現時点の財政調整基金残高はゼロとなっており、また、その他の基金についても非常に厳しい基金残高となっています。

   このことから、今後の行財政運営につきましては、非常に苦しい財政状況が見込まれますが、市民の安全安心を守る施策の充実に取り組み、また新たなニーズにも迅速に対応できるよう、市民サービスの向上に努めてまいりたいと考えております。そのためには、まずは限られた財源を最大限有効活用するため、徹底した事業の見直しを行うとともに、公共施設の今後のあり方についても総合的に検討してまいります。その上で、彦根城やひこにゃんなど、彦根が持っている資産やポテンシャルを有効に活用するとともに、民間の力を活用していくことで、自主財源を稼げる体制づくりを推し進め、持続可能な財政運営に向けて取り組んでまいりたいと考えております。

 

   令和6年2月  彦根市長  和田 裕行

令和6年度(2024年度)各会計当初予算

令和6年度(2024年度)当初予算における前年度との比較

令和6年度(2024年度)当初予算の概要

令和6年度(2024年度)当初予算 重点事項

令和6年度(2024年度)当初予算 主要事業

令和6年度(2024年度)当初予算 湖東定住自立圏の取組

消費税率引上げによる増収分の活用について

都市計画税充当事業

入湯税充当事業

森林環境譲与税充当事業

令和6年度(2024年度)事業見直し一覧

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