公の施設の指定管理者制度導入および運用指針

更新日:2021年04月21日

 平成15年9月2日に地方自治法が一部改正され、「公の施設」の設置の目的を効果的・効率的に達成するためには民間事業者等の有するノウハウを活用することが有効であることから、指定管理者に管理運営を行わせることができるようになった。言い換えると、「公の施設」は地方自治体が直接運営するものを除き、指定管理者制度の導入が義務付けられたことになった。そのため、本市では、平成16年7月5日付け『経営改革に関する基本的な取組みについて』に示した本市経営改革の趣旨も踏まえた上で、このたび、「公の施設」の指定管理者制度の導入および運用についての指針をまとめた。
 本指針は、指定管理者制度を導入するに当たり共通する事項についてまとめたものであるが、指定管理者の選定に際しては、各部局において高品質な施設サービスを提供すべく民間等のノウハウを活用できるよう幅広く公募を行うとともに、外部の有識者等の参画による選定委員会を部局ごとに設置し、選定基準や手続の透明性・公正性の高い選定を行うこととする。
 なお、直接運営する場合も含め、「公の施設」はもちろんのこと、全ての市有施設について、施設サービスの質の向上とコストの削減に取り組むとともに、本制度を単なる市側のリスク回避やコスト削減のために導入するのではなく、サービスの向上を命題とした指定管理者とのパートナーシップを構築することで、各施設の有機的な運営を図り、広く市域全体の活性化につなげるものとする。

平成16年11月
彦根市

1 導入までの流れと基本的事項

  1.  導入までの流れは、別紙の『彦根市の公の施設に係る指定管理者制度導入までのイメージ』による。

添付ファイル

  1. 「公の施設」への指定管理者制度導入については、原則として下表のとおりとする。
指定管理者制度導入について
No. 施設の区分 指定管理開始時期等 条例改正案上程時期
<1> 現状で全面管理委託している施設 平成18年4月 平成17年6月議会
<2> <1>以外で、法律上、制度導入可能な施設 平成18年4月以降順次とし、平成18年9月までに具体的な導入計画を策定する。 平成17年6月議会
 法律上、制度導入が可能であることから、直営を継続するとしても、手続規定については定めておく必要がある。
<3> 個別法で制度導入には制限があるものの、通知等により制度導入の可能性が示されている施設 平成19年度以降順次とし、個別法の改正等の動向が定まった日の属する年度の翌年度9月までに具体的な導入計画を策定する。 個別法の改正等の動向が定まった日の属する年度の翌年度の議会
  1. 現在、市が直接管理運営を行っている施設についても、個別法の規定で制限があるものを除き、指定管理者制度導入の可能性を検討する。なお、個別法で制限があるとしても、施設の全ての業務を市が直接行うとは限られていないので、業務内容を検討し、外部委託を積極的に進めること。
  2. 今後、市が施設の新設・改良を行う場合、個別法で制限のあるものを除き、指定管理者制度の積極的な導入に努める。

2 導入推進体制

別紙『指定管理者制度導入推進体制』のとおりとする。

添付ファイル

3 市有施設の現況について

 指定管理者制度の適用・不適用に関わらず、まず、全ての市有施設について現況および将来の方向性を把握するため、『市有施設の概要調書』を各部局において作成し、存廃も含めて各施設の方向性を明確にする。なお、調書作成の細部については、『市有施設の概要調書作成要領』による。

4 施設の管理運営チェックについて

 直営・外郭団体による管理運営委託に限らず、全ての施設について下記の項目をチェックする。(『市有施設の概要調書作成要領』においても欄を設けている。)
 指定管理者制度への移行など、施設の将来像を検討する際のポイントである。
 該当する項目数が多いほど、民間等の管理運営の領域が大きいと考える。
 特に、下記の項目のうち4.、5.、6.のいずれかに該当する施設については、民間等による運営を念頭に入れ、指定手続を行う必要がある。
 また、市の直営施設についても、既に示している『事務事業の公的関与点検基準』の視点に立つとともに、このチェックの結果も参考にしながら、一部業務委託を含め民間等との役割分担を行っていく。
 なお、チェック等の検討は、職員の恣意によることなく、客観的に行う。

施設の管理運営チェック
No. チェック項目 該当
<1> 民間の事業者等に任すことで、オープン日、オープン時間、施設で実施するソフト事業の充実など、サービス提供や施設の運営面において民間の事業者等のノウハウの活用が期待できる。  
<2> 民間の事業者等に任すことでコスト削減が図れる可能性がある。  
<3> 利用の平等性、公平性など(守秘義務の確保等を含む)について、行政でなければ確保できない明確な理由がない。  
<4> 民間の事業者等で同種または類似のサービスを提供する事業者等が存在する。  
<5> 施設が提供するサービスの専門性、特殊性、施設の規模等を勘案して、民間の事業者等による運営が可能である。  
<6> 税で負担するべきでなく、使用料・利用料金により管理運営を行うべき収益的施設である。  

5 条例の制定・改正

(1)共通事項

 指定管理者制度を導入する場合は、次の事項を共通して条例に規定する。

  1. 指定管理者に管理を行わせる根拠規定
     地方自治法第244条の2第3項の規定を根拠として条例に規定する。
  2. 業務の範囲
     指定管理者が行う業務の範囲を、施設の設置目的や規模等に応じて規定する。なお、使用許可に関する事項を含める場合は、その旨を規定すること。
  3. 指定の手続
  • ア  申請の方法
     指定管理者の指定を受けようとする団体は、申請書、事業計画書等の必要書類を市長(教育委員会)あてに提出する旨を規定する。
  • イ  選定基準
     市民の平等な利用の確保、施設の効用の最大限の発揮、管理を安定して行うことができる経営規模や経営能力、施設の管理費用の縮減その他必要な事項を規定する。
  1. 管理の基準
     利用者が利用する時の基本的な条件(オープン時間、休日、使用許可基準、使用制限条件等)を規定する。
  2. 利用料金制度の採用
     利用料金制度を採用する場合は、その旨および当該料金の定め方等について規定する。

(2)情報公開および個人情報保護

 指定管理者が保有する文書で、公の施設に関するものの公開に関することを規定するとともに、指定管理者が個人情報保護に関し必要な措置を講じるべき旨や秘密保持義務について規定する。なお、指定管理者と締結する協定書においてもこの旨を規定することとなる。

(3)その他

 (1)や(2)以外に必要な事項は、各部局において施設ごとに検討すること。また、個別の設置条例で委任した事項の細部については、原則として規則で定める。

6 指定管理者(候補者)の選定の手続

(1)公募の原則

 施設を所管する部局は、指定管理者の選定に当たっては、透明性、公正性および能力のある民間の事業者等の幅広い参入の機会を確保するため、公募を実施する。ただし、次に掲げる場合は、公募によらず指定管理者候補者の随意選定を行うことができる。この場合においても(3)の指定管理者候補者選定委員会に諮ること。

  • ア PFI手法により一定期間、施設の管理運営をする者を指定する場合
  • イ 当該施設に併設・隣接する施設の運営法人等を指定する場合
  • ウ 合理的な理由により、地域人材の活用をする場合
  • エ 専門的かつ高度な技術を有する者が客観的に特定される場合
  • オ 公募を行った結果、応募がなく、再度公募を行う暇がない場合
  • カ 施設管理上、緊急に指定管理者を指定しなければならない場合

(2)施設所管部局による施設ごとの公募の実施

  • ア 公募に当たっては、告示、ホームページ、広報紙など幅広い広報媒体を活用する。
  • イ 公募期間(民間事業者等が応募できる期間)は、1箇月程度とする。ただし、応募者にとっての十分な準備時間として最低1箇月以上の事前周知期間を設け、事前に十分な情報提供を行う。
  • ウ 施設ごとに、オープン時間、休日、自主事業などの条件について、応募者から事業計画書等の提案を受ける提案型公募を実施する。
  • エ 指定期間は、原則として4年とする。ただし、PFI事業により建設する施設および利用者と施設の管理者が長期継続的な関係を有する必要がある施設(福祉分野や介護保険分野におけるいわゆる入所施設)については、4年を超える期間とすることができる。この場合、(3)の指定管理者候補者選定委員会に諮り、適切な期間を設定すること。
  • オ 施設について応募要領を作成し、情報提供を行う。

主な提供情報項目

 施設名称・規模・施設内容(図面を含む。)、施設の設置目的、現在の業務量・経費、オープン時間、休日、使用料、指定管理者が行う業務の範囲、指定期間、法令等の規定、予定する協定書案、応募資格、応募窓口、応募期間、事業計画書様式、説明会の有無、応募方法、選定方法、利用料金制の有無、事業所税の有無、利用者減免等の手続、管理に関する市の負担額の上限額その他必要な事項

  • カ 応募資格に、市内事業者であることや市内外での実績のあることを条件とはしない。これを条件に設定することが望ましい施設の公募については、応募資格ではなく、選定基準において項目として設定する。

(3)指定管理者候補者選定委員会の設置運営

  • ア 所管部局ごとに「指定管理者候補者選定委員会設置要綱」を制定し、その要綱に基づき同委員会を設置する。
  • イ 選定委員会は、あらかじめ公表した選定基準に基づき、応募者が提出する事業計画書等を審査し、指定管理者候補者を選定する。
  • ウ 選定委員会は、概ね7人で構成することが望ましい。ただし、市職員以外の複数の外部からの有識者等の参加を義務付ける。この場合、外部委員の一部を公募することも差し支えない。
  • エ 審査に係る委員会については、審査に集中するため、原則として非公開とする。
  • オ 選定結果は応募者全員に通知し、選定理由、審査議事録、選定委員名、採点表等を公表する。
  • カ 選定委員会は、指定管理者の適用施設の利用者の満足度および苦情についても調査する。なお、各部局においては、制度導入前後の比較ができるように、利用者の声や運営状況等の必要項目を導入前に把握しておく。
  • キ 選定に当たっては、市民の平等な利用の確保、施設の効用の最大限の発揮、管理を安定して行うことができる経営規模や経営能力、施設の管理費用の縮減の4選定項目を必ず設定し、その他必要な事項なども設け、これらを総合的に勘案して決定する。この場合、選定基準(評価する項目や評点など)は委員会で定め、公募と同時に公表する。

(注意)
 選定委員会で選定された事業者等については、「指定管理者の候補者」であり、議会の議決により指定管理者となる。

(4)議会の議決

 指定管理者の指定は、次の事項について議会の議決が必要である。

  • ア 指定管理者に管理を行わせようとする公の施設の所在地および名称
  • イ 指定管理者となる団体の所在地および名称ならびに代表者の氏名
  • ウ 指定期間

(5)指定後の手続

  • ア 指定管理者との間において協定書を締結する。
  • イ 指定期間については、6-(2)-エに記載のとおりとする。
  • ウ 協定書には、施設の利用者等に係る個人情報の保護および施設の管理の業務に関して保有する情報の公開に対する指定管理者が行う必要な措置、施設や設備の原状回復の義務等を明記する。(施設の適切かつ大規模な維持補修のための方策は別途検討とする。)

(6)制度の円滑な導入に向けての積極的な情報提供

 市内での起業や民間事業者等の事業参入を促進するため、対象施設の情報(施設の種類等)についてホームページ等により情報提供を行うとともに、指定管理者制度への移行が円滑に進むよう、利用者に対してもホームページや広報等により十分な周知を行う。

(7)制度導入後の対応

 制度導入後の各部局の対応としては、次のような項目が想定される。

  • ア 指定管理者の管理運営状況の把握および必要な指示
  • イ 施設利用者の意見や要望の収集と運営への反映
  • ウ 導入後検証を踏まえた次期指定管理者の要件や指定期間等の検討

7 その他

(1)公の施設の管理運営を行っている外郭団体等について

 現在、市の施設の管理運営を委託している外郭団体等は、今後、民間事業者等との競争関係に置かれることが予想されることから、外郭団体等においては、職員の処遇を含め、これまでのノウハウを生かした、さらなる経営改善(コスト削減・サービスの質の向上・充実)を図る必要がある。
 市においては、制度導入前に外郭団体等と連絡調整の上、当該施設の管理コストと団体等の本部経費の区分など経費の明確化を図っておく必要がある。また、制度導入後の施設の管理運営は、指定管理者の本来業務となることから、指定管理者となる団体への市職員の派遣については、見直しを検討する。
 指定管理者制度の導入は、外郭団体等の存廃に関わる重大な事項であることの認識が必要である。

(2)利用者減免取扱実態の明確化

 施設において実施されている減免の取扱いなどの実態を把握し、使用料・手数料の見直しの結果を踏まえて、応募者等への正確な情報提供を行う。

(3)直営施設への対応

 現在、直営により運営している施設においても、法改正の趣旨、行政目的の達成、施設サービスの質の向上、行政運営の効率化、地域経済の活性化等の観点から、施設の存廃を含む抜本的な見直しを行った上で、存続する施設については、行政と民間等の役割分担を明確にし、指定管理者制度の適用を検討していく。

(4)市有施設の今後

 地方自治法の規定による指定管理者制度の導入されたことから、従来以上に、施設の新設・改良、複合施設の在り方、施設の維持管理、施設で実施するソフト事業の運営状況、施設の利用状況等が市内外から問われることが予想される。
 したがって、指定管理者による管理と直営(一部管理委託を含む。)に関わらず、常に施設の運営を見つめ直し、改善を加えていく視点を持つよう努めなければならない。また、特に施設の新設・改良に当たっては、従来以上に、事前に、後年度のコストやソフト事業運営までのシミュレーションを重要視した計画の立案が必要である。

この記事に関するお問い合わせ先

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