60 スミス記念堂
スミス記念堂(旧須美壽記念禮拜堂)(すみすきねんどう(きゅうすみすきねんれいはいどう))
- 国登録 平成19年12月5日
- 所在地 本町
- 所有者 NPO法人スミス会議
- 時代 昭和
スミス記念堂は、アメリカ人で日本聖公会彦根聖愛教会の牧師であり彦根高等商業学校の英語教師でもあったパーシー・アルメリン・スミス氏が、両親を記念し、多額の醵金を募って建設した昭和6年建立の和風礼拝堂です。建築資材には良質な吉野の檜材を用いており、伝統的な寺社建築を基本としつつも、要所に十字架や葡萄などキリスト教ゆかりの文様を彫刻などの手法で取り込んでいます。近代和風建築の流れの中では特異な建造物ですが、昭和初期の和風教会建築として重要な遺構です。
平成8年4月、道路拡幅工事に伴い、日本聖公会がこの礼拝堂の取り壊しを決定。同年11月には「スミス礼拝堂を彦根に保存する会(平成15年6月に特定非営利活動法人スミス会議に改称)」が発足し、保存する会が礼拝堂の無償譲渡を受けて建物を解体し、部材を彦根市の施設に保管します。以後、募金活動や移築先の検討が進められ、10年余の時を経た平成18年2月、彦根市が提供した旧彦根市立病院看護婦宿舎跡地の一隅に起工となり、今年3月に復元的に再建されました。
このように、今日のスミス記念堂は、彦根をこよなく愛したスミス氏の記念碑であるとともに、特定非営利活動法人スミス会議をはじめ市民や行政が一体となって保存運動に取り組んだ成果であると言えます。現在、この記念堂は建物の内外を公開する展示施設として新たな景観スポットを形成していますが、今後は地域の人々のさまざまな活動の拠点として、さらに有機的な連携が図られることを期待しています。
更新日:2024年09月02日