75 秋口家住宅洋館

更新日:2019年08月30日

秋口家住宅洋館(あきぐちけじゅうたくようかん)

秋口家住宅洋館の外観写真
  • 国登録 平成23年10月28日
  • 所在地 元岡町
  • 所有者 個人
  • 時代 大正5年

 秋口家住宅洋館の屋根裏には棟札が残されており、大正5年(1916)5月10日、巧匠渡辺領助、施主を秋口久次郎として上棟されたことがわかります。施主は神戸の異人館の建物を理想としてこの洋館を建てられたといいます。
 この建物では、かつて歯科医院を開業されていました。1階は玄関を入ると西の壁に受付の小窓をそなえた6畳間があり、玄関の奥には2階への階段があり、その奥には流しと便所が張り出しています。
 2階への階段をのぼると、東側に大きな一室があり、西側は6畳間と板敷の部屋の2室にわかれています。歯科医院の時代には、東の大きな部屋が診察室、西の6畳間が待合室、板敷の部屋が技師室であったといいます。
 外側の壁面は下見板張りとし、屋根は寄棟造・桟瓦葺の構造となっています。屋根の小屋には洋トラスが用いられ、火打も入れられています。正面中央の2階部分には、掃き出し間口にドアをもうけ、高欄のついていた痕跡もあります。ここには、玄関の雨よけを兼ねてバルコニをつけていたと考えられますが、現在は失われ、かわりに流庇がつけられています。
 細部の意匠などは、西洋の様式を正しく用いるのではなく、見よう見まねで簡略された素朴な装飾を施しているところも興味深いところです。施主は職人を神戸の異人館に連れて行き、その様式を模倣させたといい、素朴な装飾はそうした様式の学習の結果なのかもしれません。
 秋口家住宅洋館は、建立年代や大工・施主の名前が判明することから歴史的価値も高く、窓や扉の建具や2階技師室の水道蛇口など、細部まで当初のものが残されていることからも、大変貴重な建物といえます。

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