新型インフルエンザの家庭対策と基礎知識
基礎知識編
新型インフルエンザとは…
新型インフルエンザとは、インフルエンザウイルスの性質が変わる(変異する)ことによって、これまで人に感染することがなかったインフルエンザウイルスが人から人へ効率よく感染できるようになって引き起こされます。新型インフルエンザは、ほとんどの人が免疫を持たないため、ひとたび発生すると同時に多くの人が感染し、健康被害だけでなく、社会生活にも影響がでるおそれがあります。
発生した新型インフルエンザの特徴や毒性などによって被害の状況が異なるため、新型インフルエンザの特徴や毒性などにあわせて柔軟に対応することが大切です。
- 「強毒性」…呼吸器系以外の臓器でもウイルスが増殖する
- 「弱毒性」…呼吸器系の臓器でのみでウイルスが増殖する
- 「病原性が高い」…致死率が高い
- 「病原性が低い」…致死率が低い
新型インフルエンザウイルスの感染経路
新型インフルエンザウイルスの感染経路は、季節性のインフルエンザと同様、「接触感染」「飛沫感染」により広がっていくと考えられています。ウイルスは1ミリメートルの10000分の1くらいと小さく、本人も周りの人も症状が出るまで感染したことに気付かないので、知らないうちに家族や周りの人にうつしてしまうことがあります。ウイルスが体内に入り込んでから、症状が出るまでの期間を「潜伏期間」といい、体の中に入り込んだウイルスが体内で増殖すると、発熱などの症状があらわれます。これを「発症(発病)」といいます。(ウイルスが手に付着しただけで感染するのではなく、口や鼻、目などの粘膜を触れることで感染します。こまめな手洗いが感染リスクを減らすことができます。)
- 接触感染
ウイルスがついた物に触れたあと、目・鼻・口などに触れると、粘膜などを通じてウイルスが体の中に入り込み、感染が起こります。 - 飛沫感染
感染者のせき・くしゃみ・つばきなどに含まれたウイルスを体の中に吸い込むことで感染が起こります。(せきやくしゃみのしぶきは、約2メートル飛びます。)
インフルエンザの流行状況を監視するシステム
日本には、医療機関からインフルエンザなどの感染症情報を集めて、監視するシステムがあります。これを「サーベランス」と呼んでいます。感染症の状況を監視する医療機関を「定点」と呼び、全国にはたくさんの定点が設けられています。インフルエンザの定点と定められた医療機関はインフルエンザの患者数などを保健所に報告し、保健所はその結果を取りまとめさらに県、国などに報告します。下図は、このデータを活用して作成される「インフルエンザ流行レベルマップ」と言われるもので、感染症の流行状況に応じて、色分けされます。レベルが高くなるほど色が濃くなります。このマップは、国立感染症研究所感染症情報センターのホームページで確認できます。
- 警報
大きな流行の発生・継続が疑われるときに発令される。赤色系3段階で示され、大きな流行の発生、流行の継続が疑われるときに発令される。 - 注意報
大きな流行の可能性、または、流行が終息していない可能性があるときに発令されます。黄色系3色で示され、流行が継続していることが疑われる、今後4週間以内に大きな流行が発生する可能性が疑われる時に発令されます。
高病原性鳥インフルエンザとは・・・
鳥の間で感染が起こるインフルエンザ(鳥インフルエンザ)は、アヒルやカモなどの水鳥に感染しても症状がでず、ニワトリや七面鳥などに感染すると、強い毒性性を示し、死を招くものがあります。これを高病原性鳥インフルエンザと呼び、まれに人にも感染することが確認されています。
東南アジア等での感染事例では、発熱、咳等、ヒトの一般的なインフルエンザと同様の症状に加え、下痢も確認されています。また、死亡の主な原因は肺炎ですが、その他に結膜炎、呼吸器症状や、多臓器不全に至る重症なものまでさまざまな症状が確認されています。この高病原性鳥インフルエンザが、ヒトからヒトへ感染する「新型インフルエンザウイルス」に変異する可能性が蓄積されつつあると言われています。
家庭での対策
次に掲載している家庭での対策は、新型インフルエンザの対策だけでなく、一般的な感染予防対策としても言えることです。普段から
最新情報の収集に心掛ける
新型インフルエンザが発生したときに、心掛けなければいけないことは、最新かつ正確な情報を収集することです。感染力や毒性などによって、社会へ与える影響も異なりますので、公的な機関から発信される情報の収集に心掛けてください。また、新型インフルエンザが流行している地域と、流行していない地域では、対策が異なることがあります。デマや噂によって行動してしまうと混乱が起こることがありますので、必要以上に怖がったり、軽視したりするのではなく、正確な情報に基づいて冷静に対応できるようにしておきましょう。
手洗い・うがい
手洗いは、感染予防対策の基本です。外出・帰宅後、くしゃみのあとなどに、こまめに手洗いを行いましょう。手洗いの目安は、15秒以上です。また、帰宅後のうがいも手洗いとセットで行いましょう。
手洗いは、新型インフルエンザ対策だけでなく、その他の感染症予防にも重要な役割を果たします。
咳エチケット・マスク
マスクをせずに咳やクシャミをすると、ウイルスが2~3メートル飛ぶと言われています。飛沫(鼻水、咳、くしゃみによって飛び散るしぶきが周囲に飛び散るのを防ぐのが「咳エチケット」です。「咳エチケット」を励行して感染拡大を防止しましょう。
健康管理に心掛ける
病気にかからない健康な体をつくることも大切な予防対策です。バランスのよい食事、規則正しい生活習慣、睡眠を十分とるよう心掛けましよう。
備蓄品の準備
新型インフルエンザが発生し、社会機能が低下した時は、必要な物が手に入りにくくなることがあります。このような時に困らないようにするためにも計画的に備蓄品を蓄えておくことが大切です。
備蓄品リスト(例)
対インフルエンザ対策の物品・医療品の例
対インフルエンザ対策の物品
- マスク
- 消毒用アルコール
- ゴム手袋
- 水枕・氷枕
- 体温計
マスクは、不織布製とガーゼの2種類ありますが、「飛沫の拡散を防ぐ」のに有効なのは、不織布製マスクです。マスクの備蓄は、不織布製のものを一人あたり20~25枚を目安にしましょう
常備薬
- 常備薬(胃薬、痛み止め、その他持病の処方薬)
- 絆創膏(大・小)
- ガーゼ・コットン
- 解熱鎮痛剤(アセトアミノフェンなど)
解熱鎮痛剤の成分によっては、インフルエンザ脳症を助長する可能性があります。解熱鎮痛剤を購入の際は、必ず医師、薬剤師などに確認ください。
食事の例
主食
- 米
- 乾麺類(そば、ソーメン等)
- 切り餅
- コーンフレーク
- 乾パン
- 各調味料
長期保存可能な物品を備蓄しましょう。
その他
- レトルト食品
- インスタント食品
- 缶詰
- 菓子類
- ミネラルウォーター
- ペットボトルや缶入りのジュースなど
通常の災害対策用品の例
あると便利なもの
- 懐中電灯
- 乾電池
- 携帯電話・携帯電話充電キット
- 携帯ラジオ
- カセットコンロ・ガスボンベ
- トイレットペーパー
- ティッシュペーパー
- キッチン用ラップ
- アルミホイル
- 洗剤(衣類・食器等)・せっけん
- シャンプー・リンス
- 保湿ティッシュ
- 生理用品・オムツなど
- ビニール袋
このリストは、備蓄品の一例ですのでご家族の状況等にあわせて、ご準備ください。
更新日:2024年09月02日