昆虫 トンボ
荒神山およびその周辺は、今は残り少なくなった内湖の曽根沼・野田沼、荒神山山麓を流れる宇曽川、田畑をとりまく用水路や琵琶湖にも接し、彦根市産のトンボ類の多くを観察することができます。この地域には他の昆虫も見られますがここではトンボを中心に紹介します。

セスジイトトンボ
曽根沼・野田沼には、溜水性のイトトンボ科やトンボ科・ヤンマ科のトンボの仲間が多く生息していますが、種類は曽根沼が多いようです。マルタンヤンマ・サラサヤンマ・アオヤンマ・コバネアオイトトンボなど固体数の少ない種も曽根沼の南東部にあるヨシ帯や付属する湿地で少ないながら発生を続けています。曽根沼では、一時アオヤンマの数が増えていましたが、ヨシの減少とともに少なくなってきています。

アオモンイトトンボ
宇曽川は改修によるコンクリート化のため、トンボにはすみにくい環境となり普通種しか観察できなくなりました。本流より用水路の方が植物も多く環境にも恵まれハグロトンボなどは多く見られます。幼虫が観察されたダビドサナエや観察例の少ないオオカワトンボは宇曽川の上流から流下、飛来したと思われます。
ハッチョウトンボは荒神山山麓の湿地で確認できましたが、埋め立てられ生息地が失われてしまいました。

ハッチョウトンボ
日本にいるトンボの中で最小のアカトンボで体の大きさが10~14ミリメートルです。
コシアキトンボが近年多くなっていますが、幼虫が木陰のある有機物の多い池沼を好み、底に沈んだ落葉などのものかげにかくれています。曽根沼・野田沼も堆積物などのために有機物が増え、水質が悪くなっていることも考えられます。トンボにとっても私たちにとっても貴重な曽根沼・野田沼や宇曽川はもちろん、他の河川や自然を汚さない日常生活・自然との共存を考えた開発が必要な時だと思います。

コシアキトンボ
トンボの祖先が地球上に姿を現したのは、今からおよそ3億年ほど前だといわれています。古いトンボの先祖の中には、羽を開くと70センチメートルもあるおおきな種もいたようで、フランスで化石が発見されています。
「生きた化石」と呼ばれるムカシトンボは、翅脈(羽にある網の目のような黒いすじ)に古いトンボのなごりを残しています。鈴鹿山地・伊吹山地の渓谷沿いで5月頃見ることができます。日本の他にヒマラヤにもムカシトンボの仲間が分布しています。

シオカラトンボ
♂は青い色をしているが、♀は黄色っぽく別の種のように見えムギワラトンボと呼ばれることもあります
更新日:2024年09月02日