<総評>
応募作品は何れも力作揃いでありました。二十編の作品の内容は、家族に関わるもの六編、介護、病気、趣味、友情、記行文、体験談が各二編、望郷、老いに関わるもの各一編、と高齢化社会を反映したものが多かった。
書店で本を手に取り、これ買ってみようかなと考えるには一寸した決断力が必要となる。同じように、作品集を手にした人に、その文章を読んでもらうには、何かが必要となる。
先ず作品の題名が馴染み易いかどうか、はっとするような不思議な題名に興味が湧くかどうかなどがある。次いで、文章の書き出しが分かり易く、読む人の心によく伝わるかどうかである。更に文章の前半が滑らかに運ばれ、読む人の共感が得られるかどうかである。そして、最後には推敲を重ねた末の結び、又は余韻が残るようなひと工夫が欲しいものである。
時節柄、善良な市民が明るい将来を展望できるような、そして自分の人生や生活と、前向きに向き合えるような作品を今後も期待したい。
(角 省三)
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