<総評>
日々の暮らし、さまざまな思いの「ある一部分」を切り取り綴るという作業。どの部分をどのように掬いあげ、どのように構成すれば読み手に自分の思いが深く伝わるのだろうか。何度も読み返し推敲を重ねるうちに文章の贅肉がそぎ落とされ、おのずと「自分が書きたかったこと、伝えたかったこと」が何であったか明らかになってゆく。推敲に際しては、句読点の打ち方や改行個所一つにまで細かく神経を行き届かせたいものだ。その意味で推敲の不足を感じさせる作品がなきにしもあらず、であった。
とはいえ今回は二十七編もの力作が寄せられ、お城のまち・彦根に脈打つ文化的な伝統の健在を再認識させられた。
(中島 伸男)
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