9月21日プレスリリース:特別展「大名と菓子―百菓繚乱―」を開催します
このたび、彦根城博物館において、みだしの展覧会を開催いたしますのでお知らせします。
展覧会名称
特別展「大名と菓子―百菓繚乱―」
会期
令和5年(2023年)10月7日(土曜日)~11月6日(月曜日)
会期中無休
開館時間:午前8時30分~午後5時(入館は午後4時30分まで)
会場
彦根城博物館
展示室1・2
展示の趣旨
古来、日本では、中国などの外国の文化の影響を受けながら独自の菓子の文化が育まれてきました。古くは菓子と言えば果実でしたが、奈良時代には、大陸文化の影響を受け、米や麦などの穀類、豆・そばなどの雑穀類、砂糖を原料に、蒸したり油で揚げたりといった複雑な製法を駆使した菓子が作られるようになりました。これが、現在の和菓子の原型と言われています。このような加工菓子は、南北朝末期から室町時代には、茶の湯をはじめとする饗応文化の発展の中で、より広い層に求められるようになります。そして、桃山時代にもたらされた南蛮文化の影響も受け、江戸時代中期には、加工菓子を中心とする菓子の形式が洗練され、完成の域に達したと言われています。
江戸時代、菓子は、幕府の儀礼や贈答の場で重用され、江戸は、菓子作りの先進地であった京とともに、菓子文化の中心地となりました。大名たちはしばしば、好みの菓子を注文し、自らが食すだけでなく、他大名や家族、家臣への贈り物として用いていました。贈られた菓子が気に入れば、御用菓子屋に同じものを作らせるなどして楽しんでいたことも、近年の研究から明らかになってきました。
将軍家や大名家の御用を勤めた菓子屋に伝来した注文書や、菓子意匠の見本帳、菓子製作で用いる木型などを見ると、大名たちが、自らの「好み」を菓子に体現すべく、その味や意匠に趣向を凝らしていたことが窺い知れます。実は大名こそが、江戸時代の菓子文化の醸成を牽引したと言っても過言ではないのです。
令和5年4月、彦根市は「井伊直弼公の功績を尊び茶の湯・一期一会の文化を広める条例」を制定しました。本展は、この条例の施行記念として開催するもので、茶人としても著名な松江藩松平家7代治郷(はるさと、号、不昧(ふまい)、1751~1818)や、「数寄(すき)の殿様」と呼ばれた紀伊藩徳川家10代治宝(はるとみ、1771~1852)、菓子器を自作し茶会に用いた彦根藩井伊家13代直弼(なおすけ、1815~60)らをはじめ、菓子に深い関心を寄せた大名たちにゆかりの菓子木型や菓子雛形、茶会記や注文書などの種々の資料を一堂に展示します。華やかな彩りに満ちた大名と菓子の世界をご覧ください。
更新日:2024年09月02日